この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
※このコラムは2014年3月にエディブロ導入塾に配信されたメルマガからの転載です。
今回から「チラシの作成法」についてお話していきます。まず大前提として、一般のチラシと塾のチラシは全く違うということを知ってください。巷で言われているチラシ作成法は、あくまでも一般的商品を扱う業種向けに語られています。それをそのまま塾業界に適用すると、大抵の場合失敗します。あなたも、大金をはたいてデザイナーを依頼し、綺麗で洒落たチラシを折り込んだのに反応がさっぱり…そんな経験をお持ちではないでしょうか。原因は単純です。デザイナーは、綺麗で洒落たチラシを作る技量は優れているかもしれませんが、塾業界のこと(塾生募集)に関しては全くの素人だからです。
あなたが卵や牛乳を扱っている業者ならOKです。レストランや居酒屋でも大丈夫です。綺麗で洒落たチラシは有効です。これらの業種は、不特定多数の見込み客を対象としているからです。ところが塾は、対象見込み客の範囲が(多分ビジネス分野で最も)狭い特殊な業界です。さらに、ウォンツではなくニーズで成り立っている特殊性も兼ね備えています。そんな特殊な業界に、一般的なチラシ作成法が通用しないのは自明です。
以下は、某チラシ作成業者が謳っていた「チラシ作成の基本」です。
[1] 折り込の基本……狭い範囲に回数多く [2] チラシ製作の基本……目立つこと [3] 内容の基本①……訴求対象を明確に [4] 内容の基本②……安さと実績
もちろん、正しいことを言っているのですが、鵜呑みにすると怪我をします。
[1]の「狭い範囲に回数多く」というのは「単純接触の法則」を言っていると思われます。人は、対象が人物であれ、歌であれ、商品であれ…数多く接触しているものに魅力を感じるという性質を持っています。ですから、同じチラシでも数多く折り込むことに効果があるのは事実です。ただし、費用対効果を考えた場合、同じチラシを複数回折り込むのはお勧めできません。違う内容のチラシを折り込むことをお勧めします。「認知7回の法則」があります。人は、同じものに7回触れて初めて、その内容を正しく理解するという法則です。
[2]の「目立つこと」も重要です。ただし、その手法を正しく選択しないと意味がありません。目立たせるために、「カワイイ少女の笑顔の写真」をチラシ前面に掲載して、「一緒に学ぼうよ!」とキャッチコピーを付けても効果は薄いでしょう。あるいは、陸上競技のハードルを跳ぶ瞬間の迫力ある写真に「頑張る君を応援します」とキャッチコピーを付けても…これらは、プロのデザイナーが好んで採択する手法です。理由は単純です…楽だからです。大きな写真でスペースを埋めれば、たいていのチラシは簡単に完成します。しかし、それで目立ったとしても、保護者が問い合わせの電話に手を伸ばすことはありません。
[3]の「訴求対象を明確に」は当たり前のことですが、[4]の「安さと実績」は塾には不向きです。実績は必要だとしても、安さを強調するのは逆効果になりかねません。同じ「大根」ならば、100円のものより50円のものが売れるでしょう。しかし塾は目に見える商品を売らないサービス業です。安さを強調すると商品力(授業:教師とカリキュラム)のクオリティの低さをイメージさせてしまいます。
以上、一般のチラシ作成法と塾のチラシ作成法は違う(原則は同じでも手法が違う)ということを理解した上で、では、どんなチラシにすれば反応率が高くなるかを説明します。
① 文字の量が多いチラシ
某情報誌で、一般の母親が塾のチラシを批評するという人気コーナーがあります。そこでたびたび言われることは「文字が多いと読む気にならない」というものです。一般的にはそうだと思います。しかし繰り返しますが、対象となるのは不特定多数の母親ではありません。子どもの学習について切実な悩みを抱え、塾を探している母親です。そうした意識の高い母親は、塾の内容を詳しく知りたいと考えています。10年以上のコンサル経験から私は断言します。(極端な例は除いて)文字数と反応率は絶対に比例します。詳しく言うと、知的レベルの高い家庭からの反応率が高くなります。 中には、興味を惹くために漫画を利用する塾があります。大人の活字離れが深刻で、中高年のサラリーマンが平気で電車の中で少年ジャンプを読む時代ですから、それはそれで効果的だと思います。しかし…漫画に惹かれて問い合わせてくる家庭を対象とする塾にしたいですか?字数を使って塾の理念・指導内容等を説明し、それを読んで(読むことができて)問い合わせてくる家庭は知的レベルが高く、子どもの教育に対する関心も高いものです。少なくとも中小・個人塾は、第一義的にそうした家庭を対象とする塾を目指すべきです。
② 指導者が分かるチラシ
数多くの中小・個人塾のチラシを見て驚くことがあります。ほとんどのチラシに指導者(塾長)の顔写真と名前が載っていないのです。ところが、塾を探している家庭の関心事(心配事)のトップは、「どんな人が教えてくれるか」です。考えてみれば当然です。大切な我が子を託すわけです。指導者の人となりに親として無関心ではいられません。どれだけカリキュラムや教材の素晴らしさを説明されても、学習指導の素人である保護者には理解できません。ところが、多くのチラシが人物不在なのです。 ある塾は昨年の夏期講習で、塾長の顔写真を大きく扱ったチラシを投入しました。その地域で30年、塾経営を続けている個人塾です。すると、前年比10倍(と言っても1人⇒10人ですが…)の申し込みがありました。多くは、元塾生の子供たちです。「ああ、あの先生、まだ元気で活躍しているんだ」という元塾生の思いが、塾に足を運ばせたのでしょう。
続きは次回に説明します。なお、先月の予告で「キャッチコピーを扱う」とお話しましたが、その前に総論をお伝えしなければと思い直し、今回の内容を変更しました。ご了承ください。