この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
※このコラムは2014年7月にエディブロ導入塾に配信されたメルマガからの転載です。
缶コーヒーはどこのコンビニで購入しても同じものを入手できます。どの自動販売機を利用しても同じ商品を入手できます。ところが塾の場合、「学習指導」と一言で表現しても、その内容は千差万別です。どの塾を利用しても「同じ学習指導」を入手できることはありません。ここに、塾というビジネスのマーケティングの難しさがあります。
誰かと「映画を見に行こう」と約束したとします。それが意中の異性だった場合、どの映画を選択するか、あなたは必死で考えを巡らせるはずです。(遠い青春時代を思い出してください)
パンフレット、雑誌を熟読し、予告編を鑑賞し、ありとあらゆる方法を駆使して二人のデートに最も相応しい一本を選び出します。彼女に「つまらなかったね」とは言われたくない。そんな時、最も効果的な方法は、既に鑑賞済みの友人の評価です。「あの映画は面白かったよ」の一言が後押しします。
まったくの異業種の例ですが、塾選びはコレに似ています。 映画は嗜好の問題が大きいので、誰かにとって面白かった映画が、あなたにとっても(彼女にとっても)面白いとは限りません。そうなると、いきおい定評のある(宣伝力のある?)話題作を選択するのが最も無難という結論に落ち着いたりします。名前の通った大手塾を選択する思考は、コレと似通っています。大手塾なら安心だという心理です。(もちろん、この安心感を醸成するまでには相当の努力が必要なことは言うまでもありません)
中小塾は事前の宣伝力に劣る映画のようなものです。何もしなければ、人の話題にのぼることはありません。
私は10年前から「良い授業をしていれば、自然と口コミ・評判が拡がって生徒が集まってくる時代は終わった」と主張しています。淘汰の時代を経て生き残った塾は、それぞれが素晴らしい授業を展開しているものです。「良い授業」が差別化になりにくくなっているのです。つまり、「良い授業」は充分条件ではなく必要条件なのです。(それだけに、良い授業を展開していない塾は市場から早急に見捨てられます)
今の時代、口コミ・評判は店側(塾)が意識して作り出さなければなりません。紹介客は、何もしなければ作られないのです。塾が、積極的に紹介を募る仕組みづくりが必要です。
顧客のサイクルは全てのビジネスに共通です。
見込み客を作る
見込み客を顧客にする
顧客を上客にする
上客から紹介客を募る
全ての始まりは「見込み客を作ること」です。そこに必要なのが「チラシ」「ホームページ」等であることは、以前にお話しました。ここに相当のボリュームゾーンを抱えていなければ、顧客は作れません。
見込み客について勘違いしている塾経営者がいます。市場の子どもたち、全てが「見込み客」だと思っています。これは間違いです。チラシを投入した時、電話を掛けてくれる(問い合わせてくれる)人が見込み客です。
新年度前には、ほぼ全ての塾がチラシを投入します。そのチラシを全部取っておく家庭は少ないでしょう。興味を持った(我が子に相応しそうな)塾のチラシ、3枚程度を保管するのが一般的です。あなたの塾のチラシを保管してくれた家庭が、「あなたの塾の見込み客」です。
その見込み客を顧客にし、上客に変えなければ紹介客は得られません。(何もしなければ上客は顧客全体の5%、最大でも15~20%と言われています)紹介客を得るためには、多くの上客を育てておく必要があるのです。(この手法については、いずれ紹介します)
さて、やっと紹介制度です。
塾は、その8割が紹介といっても過言ではないビジネスモデルです。少なくとも、たいていの人が現塾生からの口コミ・評判に接していると言ってよいでしょう。また、塾経営者も「紹介で生徒が集まってくるのが理想だ」と考えています。
それなのに…紹介状すら存在しない塾を見掛けます。こうした塾には「紹介制度」そのものが存在していないのです。これでは塾が紹介客を求めていることが顧客に伝わりません。
「人は形(形式)に反応する」という法則があります。
次回以降、紹介制度の構築について詳しく説明していきます。