この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
-学習内容の大幅増は数少ないチャンス- 次年度、中学校の教科書が大幅改訂されます。顕著なのが理科の大幅変更です。増加率も5科目で最も多く、約45%増になります。次が数学で33%増です。やはり、近年の理数系弱体という日本が抱える問題が背景にあるようです。他教科も件並み30%前後のボリューム増です。対応は万全だとは思いますが、最終チェックをして下さい。今回の改訂は塾業界にとって、数少ないチャンスです。
教科書改訂の情報提供を徹底する
まず、カリキュラム内容の大幅変更が必要です。今年と同じ対応では間に合わなくなります。実際、塾教材を作成する企業に聞いたところ、ワークのボリュームも当然、増えています。安穏として今年と同じペースで進めると、現場がパニックを起こします。塾が、定期テスト前に範囲を指導できていないのでは洒落になりません。最も深刻なのは個別指導塾でしょう。現場の教師は学生です。学生に「あなた」と同じ高い意識レベルを求めるのは酷です。明確な指導指針を与えないと、テスト前に「おざなりの指導」になるのは目に見えています。それだけは絶対に避けたい。 来年度からの指導をどうするか、改訂にどう対応するかの「答え」をしっかりと確立して下さい。その上で… 地域に対して(もちろん、一番は自塾生に対して)啓蒙活動を徹底することが必要です。せっかく、文部科学省が自らの教育政策の非を認めてくれたのです。これを反抗のきっかけにしない手はありません。また、学習内容が増えたからといって、その分の授業数が増えるわけではありません。全体としてスピードアップが求められます。今よりも学力の2極化が進むのは明らかです。そうした危機感を持ってもらい、保護者にも生徒本人にも覚悟を決めてもらう必要があります。 今回、あまり話題になっていませんが、上限条項が廃止されました。地域によっては、公立高校も入試の一部に独自問題を採用するところがあります。また、内申点と学力査定の傾斜配分がますます強くなってきます。(もちろん、学力査定重視に傾きます)地域の入試制度の変化に敏感に反応し、情報を伝えると共に、塾のカリキュラムに反映させる必要があります。また、学区制の見直しが各地で進んでいます。そのことで高校の勢力図が一変することもあります。中高一貫公立学校も、ついに全国で400校を超えました。 以前から暗黙知の代表として「情報」の大切さを指摘してきました。今回の改訂は、まさに情報戦を塾に強いてきます。地域の動きに敏感になってください。入試傾向、学区制、傾斜配点等は地域差がありますので、私の方から具体的な対応法を提示することは出来ないのですが、ぜひ、次のことを実践して下さい。
徹底的な情報収集
カリキュラム・教材の見直し(授業料含)
塾生・保護者への啓蒙活動(保護者会・教育説明会)
入塾書類・チラシ・ホームページの改変
小冊子等による自塾ブランドの確立
保護者を、塾生を行動させる説明会を
さて、情報収集は当然として、絶対に必要なことは「情報提供」です。それも、単なるインフォメーションではなく、コミュニケーションになる工夫をしなければなりません。復習になりますが、コミュニケーションとは「思いを伝えて、相手に行動してもらうこと」です。例えば、理科の学習内容が大幅に増加することを伝えるのは、個別指導塾ならば「英語・数学に加えて理科も受講してもらうため」でなければなりません。すると、保護者会を開いて説明する場合でも、型通りの説明ではいけないことが分かります。人を行動させるには、「感動」を提供する必要があるのです。感動とは「期待値を上回る部分」を指します。
教育セミナーに参加される保護者は、ある一定の期待値を持ってやってきます。その期待値を上回る内容が必要です。言い換えると、「塾の経営者(教師)が言いそうなことに終始していたのではいけない」ということです。多くの塾が、保護者会・教育セミナーに参加された保護者を疲れさせて帰してしまいます。それでは家に帰ってから子どもと受講数について相談するという行動に移してもらうことは難しい。「今日は貴重な話を聞いた。家に帰って父親に、子どもに伝えなければ」と高揚して帰ってもらわなければなりません。それが、保護者会・教育説明会を開催する主たる目的であり、結果として塾の評判を高めることになります。
繰り返しますが、次年度は塾業界に久々に訪れるチャンスです。その旨み?を大手塾に全て取られませんように。戦略構築は日々の業務と並行して実行しなければ手遅れになります。
-学習内容の大幅増は数少ないチャンス-
Comments