この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
-「面倒見の良い塾」の評判を作るために[2]-
「評判作り」は「ファン作り」から
先月号に続き、「面倒見の良い塾」についてお話します。
前回、早朝特訓の話をしました。とある個人塾が早速、実行に移してくれました。このスピード感は大事です。急遽の企画だったこともあり参加者は4名に留まったそうですが、こうした企画は最初の参加者が少ない方が「感動」を作りやすいものです。塾長からの報告です。
(前略)本日が朝勉の初日でした。四人が参加。玄関前で出迎え、おにぎりの準備はできなかったのですが、ストーブで作った温かいうどんを朝食代わりに食べて貰いました。「朝勉」は保護者の方から大変好評でした。次のようなお礼のメールが届きました。嬉しかったです。 「私は朝勉派だったので(夜は超眠たがりで全く頭に入らず)テスト前は早朝に時計とにらめっこし、焦りながら&おにぎりをかじりながらやったものです。○○(お子さんの名)にも以前から朝勉を勧めていたのですが、朝の弱い彼は全くやる気無しでした。ですが、今回は特に嫌がることなく参加でき、拍手です。先生の暖かい心遣いでハートもホットになったのでしょう。ありがとうございました」
塾のファンが一人、誕生しました。こうした実践の積み重ねで、一人ひとりファンを作っていくことです。必ず、「面倒見の良い塾」という評判を拡げてくれます。
面倒見の良い塾は、進路指導も違います。生徒が志望する学校には自ら出掛け、指導内容や方針、進路まで調べなければなりません。実際の教師とも懇談し、大切な塾生を送り出すに相応しいかどうか、自分の目で確かめる必要があります。学校や業者が発表している「公式見解」だけを鵜呑みにせず、出来る限り「生の情報」を収集することです。それが「面倒見の良い塾」です。
卒塾した生徒にも数ヶ月に1度は電話訪問し、進学した学校の情報を収集すると共に、彼らの行く末にも心を砕かねばなりません。年に一度は同窓会を開き、近況を聞き、悩みを解決してあげなければなりません。進学、就職、結婚…彼らの人生の節目には声を掛け、両親と一緒に成長を喜んであげなければなりません。それが「面倒見の良い塾」です。
塾生たちがよく遊ぶ近くの公園には週に一度は出掛け、清掃活動をしましょう。塾のエントランス付近だけでなく、町全体を美化する活動に取り組むことです。それが「面倒見の良い塾」です。
つまり、他塾がやらないことを徹底してやらなければ、「面倒見の良さなら○○塾だよね」という評判は作れないのです。人は自分の本当の顔、本当の声を知りません。自分では見たり、聞いたりすることができないのです。鏡の中の自分は左右反転していますし、写真の自分は「過去の自分」です。初めてカセットレコーダーから聞こえてくる自分の声にビックリした経験は誰もがお持ちのことと思います。では、「あなたの本当の顔、声」を知っているのは誰でしょう。それは言うまでもなく「あなた以外の全ての人」です。つまり、周囲の評価が本当の「あなた」なのです。塾も同じです。いくら自分で主張しても、回りが認めないことには単なる独りよがり、マスターベーションです。ところが、周りの人はチョットやそっとのことでは評価を変えません。「そこまでやるか!」というところまで徹底しないと…。
なかなか評判を作れない塾は、この徹底ができていません。どこかに妥協が生まれ、中途半端になっています。確かに徹底することは難しく、苦痛を伴う行為です。塾人にとって、テスト期間だけとは言え、朝の6時から授業をするのは辛いことです。しかし、辛い行為という対価を払わなければ果実は得られないのです。
コミュニケーションも徹底が重要
コミュニケーション戦術は、「面倒見の良い塾」にとって必須です。何度も強調してきた「叱り方」「褒め方」から、家庭への電話訪問、三者面談、保護者会、教育セミナー…ありとあらゆる機会を設けて下さい。その時に大切なことは、目分量でやらないことです。例えば電話訪問は、リストを作ってチェックをしながら行ないます。そうしないと、訪問する家庭とそうでない家庭のムラが出てきます。面談も、「希望する家庭」だけではなく、全家庭と実施することをお勧めします。そのためならば、夜中でも早朝でも時間を作ることです。
私にも経験があります。母親が看護婦をしている母子家庭があり、「土日の昼間は塾に来られないから」と面談を断る知らせがありました。私は社員スタッフに「全家庭面談」を指示していた手前、「はい、そうですか」とも言えず、夜勤明けの早朝に面談したことがあります。それまでは子どもの学業に興味のない「ダメな母親」と思っていましたが、話してみると苦労して二人の子供を育てている「いい母親」でした。早朝の面談に感謝され、「親として満足な世話ができないけれど、勉強に関してだけはちゃんとしてやりたい。森先生にお任せしますので、講習も受けさせてください」とお願いされたことを覚えています。
もちろん、中には面倒に思い、面談を嫌がる家庭もあります。それでも、私は無理やりでも実施すべきだと考えています。それで退塾する家庭が出るのを覚悟で。理由は…もう、わかりますね。それが徹底するということだからです。
コミュニケーションの基本を復習・確認して下さい。
意思の疎通は「面談」⇒「電話」⇒「文章」⇒「噂話」の順番で難しくなります。
ですから、話す内容もそれに合わせて選択します。重要なことはフェイス・トゥー・フェイスで行なうことです。「宿題をしてこない」「遅刻が多い」等の深刻な問題は、直接会ってお話すべきです。電話訪問の時は、「たいしたことのない話題」をお話して、最後に「何か問題はありませんか?」と御用聞きをするだけです。1~2分程度が目安です。もし、その時に「深刻な悩み」が保護者から提出された場合は、すぐに面談の約束を取り付けます。けっして、電話で深刻な話をしないことです。様々なイベント、テスト対策授業の案内は文章で伝えます。口頭で済ませるのではなくペーパーで、メールで、保護者の目に触れる形で行ないます。その一つひとつが「面倒見の良さ」のアピールです。塾に対するロイヤリティは、コミュニケーションの濃密度に比例します。疎かにできません。
ぜひ、今年度は一つのことに徹底してください。「そこまでやるか!」というところまで徹底した時、初めて「評判」は作られます。
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