top of page

中小塾のためのマーケティング講座111 マーケティングの杭をどこに打つ?

執筆者の写真: 森智勝森智勝

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


-来年度に向けた戦略構築を開始せよ-

絶対ぶれない場所に杭を打つ

マーケティングとは商品の内容を早く、正確に、そして広く伝えるための手法のことです。ですから、当然のこととして商品の中身、つまり商品力が本物であることが前提です。商品が偽物ならば、マーケティングを施せば施すほど、「あの商品は偽物だ」という悪評が拡がるばかりです。次に考えるべきことは、商品の何を強み(差別化)とするかという問題です。それを私は「杭を打つ」と表現しています。そこだけは絶対に譲れない、どこにも負けないという場所に杭を打ちます。 どの塾にも「経営理念」と「指導方針」はあります。それは絶対に必要なことです。いわゆる塾の憲法のようなものです。ただ、理念や方針は抽象的な文言で作られているため、内部には通用しても外部には伝わりにくいものです。人は具体的事象に触れて抽象的なイメージを持ち、抽象的事象に対しては反感を持つ性質を抱えています。例えば、選挙公約に「平和で豊かな社会を実現します」と掲げた候補者が支持を集めることはありません。橋下大阪市長率いる維新の会が大きな支持を集めているのも、(その是非は別にして)大阪都構想をはじめとした具体的な構想を打ち出しているからです。以前からお話しているように、「面倒見が良い」「とことん分かるまで指導します」云々のフレーズの効果が薄いのは間違いありません。ましてや、大半の塾が主張している「面倒見の良さ」「分かるまで…」が差別化になるとは思えません。それを納得させるための具体的事象を見せる必要があるのです。 中小塾が「面倒見の良さに杭を打つこと」に反対をしているのではありません。それならば地域の人、誰もが納得し、他塾が「とても真似ができない」と驚愕するだけの「面倒見の良さ」を見せる必要があるということです。(それでも、大半の塾が主張する「面倒見の良さ」は大激戦区だということを覚悟してください)例を挙げましょう。 以前、早朝特訓についてお話したことがあります。テスト期間中、早朝から塾で最後の仕上げをして当日のテストに臨むという企画です。夜の遅い塾人にとっては辛い仕事です。しかし、だからこそ「面倒見の良さ」をアピールすることができます。この話をした後、某塾が「当塾も早速、早朝特訓を取り入れました」と報告してくれました。そのスピード感は素晴らしいのですが、聞けば朝の七時十五分から実施したというのです。 「なぜ、そんな時間から始めたの?」という私の問いに対して、教室長は「あまり早くからやっても、生徒が来ないと思ったので」と答えます。私は教室長に言いました。

「違う。それではダメです。朝が辛いのは六時も七時も同じです。まだ夜が明けない六時(当時は冬)から暗い路上に立つのです。そして、最初にやってきた生徒を満面の笑みで迎え、一緒に教室に入って指導を始めるのです」

この場合、最初から多くの生徒が集まるかどうかは重要ではありません。暗い路上に立って生徒を待つことで、あなた(塾)の熱意を表すことが重要なのです。その最初に来た生徒は必ず感動し、親に伝えます。友人にも伝えます。それが評判を作るということです。感動を提供するということは、相手の期待値を上回ることであり、そこに徹底することです。 この話には続きがあります。以上の話をした後、また、別の塾から報告がありました。

「当塾も早朝特訓を始めました。午前五時からやっています」

この塾は某FCの加盟塾なのですが、毎年のように優秀教室として本部から表彰されています。五時からの開始が適切かどうかは別にして、ここまで徹底すれば評判を作り、圧倒的な集客力を持っているのも頷けます。この塾は早朝特訓だけではなく、あらゆる面で「面倒見の良さ」を追求しています。つまり、そこに杭を打っているのです。 杭を打つ場所は、あなたの得意とする分野です。「合格実績」でも「成績向上」でも「とことん主義」でも構いません。ただ、マニアックに走るのだけは避けてください。市場の二割の人が共鳴・共感する分野に狙いを定めることです。それともう1つ、(これは中小塾経営者の方には申し上げにくいのですが)「居心地の良さ」を売り物にしている塾が多いのですが、そこに市場(見込み客)のニーズはないと思った方が良いでしょう。月に二万円、年間で三十万円の支出をして「居心地の良さ」を求める家庭はありません。居心地の良さを求めるならば、塾ではなくアロマセラピーを選びます。やはり、第一義的には学習指導を通した成績の向上、志望校合格を求めているのが現実です。そこに直結した面倒見の良さであり、トコトン主義であることが重要です。もちろん、+αとしての居心地の良さ(広い意味で言う学習環境)は必要ですが、それが前面に立つのは避けるべきなのです。


マーケティングの骨組みを作る

杭を打つ場所さえ決まればマーケティングの半分は成功したようなものです。後はテクニカルな問題です。その杭を徹底してアピールします。その杭に関して近隣他塾に絶対に負けないという自信さえあれば、堂々と遠慮なく訴えることが可能です。ここに至っての「奥床しさ」は見込み客のためにもなりません。 まずはマーケティングの全体像を描きます。ここから先を言葉で説明するのは難しいのですが、骨組みだけを表示すると次の形です。

A群

1 経営理念 2 指導方針 3 杭を打つ場所(例:面倒見の良さ)

B群

(スローガン)「絶対面倒見宣言!」

⇒①テスト前対策授業の拡充 ②テスト当日の早朝特訓実施 ③居残り・呼び出し授業の充実 ④家庭とのコミュニケーション(以下略)


C群

それぞれに対して具体的な肉付けをしていきます。 例えば、「家庭とのコミュニケーション」ならば、①入塾時の礼状 ②三週間に1回の電話訪問 ③毎日1通の手紙 ④毎月のニュースレター ⑤年に3回の3者面談 ⑤年に2回の教育セミナー等々です。


全体の骨格が完成した後、それを「チラシ」「ホームページ」「入塾案内」に落とし込んでいきます。最も苦心しなければならないのは、最初の一文(キャッチコピー)です。ここが魅力的でないと、見込み客を以後に誘導することはできません。

上記の例(個別指導塾)で言えば、こんな感じでしょうか。

絶対面倒見宣言! もう、「個別指導は成績が上がらない」とは言わせない!

キャッチコピーは文字通り「読者の興味をキャッチ」するためのものです。チラシを見た時、ホームページを開いた時、最初に目に飛び込んでくる文字が最も重要です。ここで興味を惹き付けないと、以後にどんなに素晴らしいことを書いたとしても読んでもらえません。どうすれば上記のA群⇒B群⇒C群と無理なく誘導することができるかを考えてください。 秋は来年度の戦略を練る時期です。12月に入ると業界の最多忙期を迎え、じっくりと考える時間が持てなくなります。商品力の向上とマーケティングの工夫は車の両輪と認識して今、次年度の戦略構築を開始してください。塾業界はマーケティングの面ではまだまだ未成熟です。視点を変えれば、必ず突破口を開くことができます。

最新記事

すべて表示

エディブロ ネットセミナー中小塾のための「集客の極意」⑮-紹介客は塾が意図的に作り出すもの③-

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。 ※このコラムは2014年9月にエディブロ導入塾に配信されたメルマガからの転載です。 「紹介が得られる仕組み」を作るためには、「紹介する人」の気持ちになって考える必要があります。常...

エディブロ ネットセミナー中小塾のための「集客の極意」⑭-紹介客は塾が意図的に作り出すもの②-

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。 ※このコラムは2014年8月にエディブロ導入塾に配信されたメルマガからの転載です。 塾は、その8割が紹介といっても過言ではないビジネスモデルです。...

エディブロ ネットセミナー 中小塾のための「集客の極意」⑬ -紹介客は塾が意図的に作り出すもの-

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。 ※このコラムは2014年7月にエディブロ導入塾に配信されたメルマガからの転載です。 缶コーヒーはどこのコンビニで購入しても同じものを入手できます。どの自動販売機を利用しても同じ商...

ホームページの改善に役立つ
チェックシートをプレゼント!

bottom of page