この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
-来年度に向けた戦略構築を開始せよⅡ-
広告宣伝は市場の20%を対象にする
先月号で触れた戦略構築の次は、いよいよ戦術を考えます。もともと、戦略とは「目に見えないもの」です。それを「目に見える形」にしていくのが戦術です。その中心になるのが「チラシ」「ホームページ」「入塾書類」の集客三点セットです。(紹介制度は別カテゴリーとして考えます)大手塾ならば、ここにコマーシャルが入るのですが、中小・個人塾を対象とした講座ですから割愛します。
集客3点セットを形作っていく上で重要なことは、「理論武装」です。例えば、現在の塾の形態は、大きく分けると「集団指導」「個別指導」「自立学習指導」の三つです。これらの形態に優劣を付けることはできません。あえて言うならば、生徒それぞれの性質に合わせた優劣が存在するだけです。そして、マーケティングとは、「あなたの塾に向いている市場の二〇%の生徒(その保護者)」に向けて、「あなたに相応しい塾がココにありますよ」とアピールすることです。「あなたの塾が最も相応しい生徒」に向けて訴えるわけですから、塾の形態に関わらず、「これが一番学習効果が高いこと」を主張しなければなりません。
多くの塾が間違っているのは、全ての生徒を対象として考えてしまうことです。すると、「いや、私の塾では学習効果の出ない生徒もいるなあ」と思考し、結果、奥床しい?当たり障りのない内容になってしまいます。すると、本来は「あなたの塾が最も相応しい生徒」にすら主張が届かないという悪循環を生じます。広告宣伝は、あなたの塾が最も相応しい生徒(家庭)に向けて発信するものですから、無用の謙虚さは不要です。
そこで必要なのが、「あなたの塾が最も相応しい生徒(保護者)」に、そのことを理解・納得させるための理論武装なのです。例を挙げます。
前回お話した『杭』を「予習指導」に打ち込んだとします。それを「集団指導塾」「個別指導塾」「自立学習指導塾」の形態別に理論武装をするとどうなるかという例です。
理論武装の例・三題
[集団指導塾の場合]
キャッチコピー:もう、「集団指導は成績が上がらない」とは言わせない! リード文:多くの保護者・生徒が勘違いしていることがあります。それは、「マン・ツー・マンの個別指導に比べて、集団指導は成績が上がらない」ということです。確かに個別指導は、「学校授業で分からないところを教えてくれる」というメリットがあります。しかし、それこそ個別指導の弱点なのです。生徒の立場になって考えてください。彼らは「僕は学校の授業だけでは理解できないダメな生徒だ」という自己嫌悪感を少なからず抱えてしまいます。これでは学習意欲が上がるはずもありません。学習意欲の上がらない生徒は、絶対に成績を上げることはできないのです。○○塾は予習型の指導によって、まず「学校授業が分かる」を徹底します。考えてもみてください。「いつ当てられるか」と不安を抱えながら学校授業を受ける生徒と、何の不安もなく授業に臨む生徒の違いを。どちらの学習効果が高いかは言うまでもありません。高志塾は、徹底した授業研究によって「生徒の学習意欲を高める指導」を提供します。それが、生徒の成績を上げる最大の方法です。もう、「集団指導は成績が上がらない」とは言わせません。
[自立学習指導塾の場合]
キャッチコピー:もう、「自立学習は成績が上がらない」とは言わせない! リード文:多くの保護者・生徒が勘違いしていることがあります。それは、「マン・ツー・マンの個別指導に比べて、自立学習は成績が上がらない」ということです。(以下同文)…学習意欲の上がらない生徒は、絶対に成績を上げることはできないのです。では、どうすれば生徒の学習意欲は向上するのでしょう。その答が「自立学習」です。専門の訓練を受けた指導者の下、自らの意思で学習内容を決定し、実行します。「そんなことをすればサボってしまうのでは?」と思われる方、子どもの自立心を見誤っています。信じてもらうことで、子ども達は我々の想像を超えた能力を発揮します。学校授業をはるかに追い越していきます。(子供を馬に例えるのは気が引けるのですが…)「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」の例えがある通りです。いくら水をかけても、石に沁み込むことはありません。子ども自身をスポンジに変えることが先決です。当塾には、そのノウハウがあります。確信を持って言います。もう「自立学習は成績が上がらない」とは言わせません。
以上の二つは、「個別指導=復習中心」という固定概念と対比させた理論武装を展開しています。言っていることは全く同じです。切り口を変えただけです。同じ「予習型」ならば、個別指導でも理論武装は可能です。
[個別指導塾の場合]
キャッチコピー:もう、「個別指導は成績が上がらない」とは言わせない! リード文:学習指導専門家の誰もが知っていて、誰もが口をつぐんでいる事実があります。それは「個別指導は成績が上がらない」ということです。冷静に考えれば当たり前のことです。標準的な個別指導…「一回八〇分の指導を週二回、英数受講」では圧倒的に学習量が足りません。また、受講していない他の科目は全くのノータッチです。これで成績全般を伸ばそうというのは無理があります。しかし、全科目受講するには授業料負担が大きすぎます。そして、もう1つ。個別指導塾が当たり前のように行なって来た復習指導に弊害があります。生徒の立場になって考えてください。彼らは「僕は学校の授業だけでは理解できないダメな生徒だ」という自己嫌悪感を少なからず抱えてしまいます。これでは学習意欲が上がるはずもありません。学習意欲の上がらない生徒は、絶対に成績を上げることはできないのです。従来の個別指導塾は、そうしたジレンマを抱えながら指導に当たってきました。正直に告白します。当塾も同じでした。何とかこの問題をクリアできないか…私は長年悩み続け、試行錯誤を繰り返し、ついに理想の個別指導塾を作り上げました。もう、「個別指導塾は成績が上がらない」とは言わせません!私は自信を持って当塾をおススメします。面倒見の良さという従来の個別指導塾が持つ利点と、圧倒的な成績向上力を兼ね備えた○○塾の個別指導を体験してください。
同じ「予習指導」ならば、指導形態に関わらず理論武装が可能だという例です。誤解のないように申し添えますが、私は『予習型が良い』と主張したいのではありません。『復習指導の塾』でも、充分に理論武装をすることができます。繰り返しますが、指導方法に優劣があるのではなく、生徒の資質によって相応しい指導方法が存在するのです。予習型が向いている生徒もいれば、復習型が向いている生徒もいます。あなたの塾がどちらの生徒に対してアピールしているかという問題です。 あえて言えば、同じ予習型の塾、同じ個別指導型の塾の中に優劣は存在します。 あなたが向き合うべきは、「あなたの塾が最も相応しい二〇%の見込み客」です。そう考えれば、堂々と主張すべきことが見えてくるのではないでしょうか。