この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
この時期、多くの塾生が巣立ち、また、多くの新しい塾生を迎えます。塾としては最多忙期です。スタッフも入れ替わり、実は塾のパフォーマンスレベルが最も低下する時期でもあります。せっかく入塾していただいたのに「期待外れだった」と思わせては何にもなりません。
以前お話したことのある「21日間感動プログラム」は、期待を持って「顧客」になっていただいた方に対するフォローの手法なのですが、もう一つの意味があります。それは「セカンド・インパクト」を与えることです。
ファースト・インプレッション
ファースト・インプレッション(第一印象)として心掛けなければならないことはいくつもあります。
例えば、情報提供の最初は「チラシ」「DM」「ホームページ」「コマーシャル」…などが考えられます。その時の第一印象で人は塾の全体をイメージします。ですから、最初の1文、チラシで言えば、まず目に飛び込んでくるキャッチコピーが大切だと言ってきたわけです。
塾(教室)の入り口が「入りやすいこと」も重要ですね。もともと塾は「用事がなければ訪れない場所」です。コンビニエンスストアなどの小売店と違い、気楽に入れる場所ではありません。だからこそ、ハードルが高い印象を持たせると、いよいよ入り辛くなります。保護者が気楽に問い合わせに来られるような演出が必要です。
もちろん、明るく広い玄関を用意して入りやすいレイアウトをするのが一番ですが、賃貸の場合、そうもいきません。最も簡単な方法は「保護者に入ってきて欲しいこと」を入り口に告知することです。
「今、○○塾では入塾案内と詳しい高校進学資料をお渡ししています。お気軽に声をお掛けください。」
こんな案内を目に付くところに掲示します。それだけでも保護者にとって心理的重圧から解放されます。(だから、チラシの電話番号にも「お気軽に」とか「今すぐ」という誘導文字は必要なのです。それでも躊躇する人のために電話番号は看板に大きく表示しましょう。)
当然、服装(身なり)も重要です。中小塾の先生はボヘミアンが多く、普段着のまま保護者と対応し、授業をやっていたりします。それを「演出」として意味を持たせているのでしたら良いのですが、往々にして「だらしない」イメージを持たれているものです。また、塾長はスーツなのにスタッフ(特にバイト学生)がヨレヨレのT-シャツ姿で教えています。これでは授業見学に来た保護者に良いイメージは与えません。
保護者と会話する機会の少ないバイト学生ほど、しっかりした身なりをさせる必要があります。保護者にとって「見た目」しか判断材料がないのですから。
次に気を付けたい「ファースト・インプレッション」は「声」です。
初めてお会いした人との挨拶「こんにちは」。電話に出たときの第一声。「はい、○○塾です」。これも大事。特に電話は顔が見えないだけに、声の調子だけで人柄が判断されます。暗い、小さな声で話されると、人は早く電話を切りたくなります。誰だってマイナスのエネルギーを浴びるのは嫌なのです。この電話対応は本当に重要です。相手の仕草や表情が見えず、情報が「声」のみですから、そこから受け取る印象は何倍にも増幅してしまうことがあります。例に挙げるのは気が引けるのですが、これだけマスコミ等で注意喚起されていても相変わらず「振り込め詐欺」の被害に遭う方が後を絶たないのも、電話という通信手段を使っているからです。
一度、電話対応の練習をしてください。スタッフ同士で電話を掛け合って、どんな声の大きさ、調子、速さが好感を持たれるかを研究するのです。そして、それを録音し、データベース化しておきます。新しい社員、スタッフが入ったとき、それを聞かせて練習してもらいます。
声の出し方も研究しましょう。私はセミナーでの第一声「こんにちは!」に全精力を使っています。イメージとしては自分の背中に声を突き刺す感じです。発した声がどこまでも伸び、地球を一周して自分の背中に届くイメージです。その時の声質は古館バージョン(尖った声)で。ちなみにじっくり話すときは筑紫バージョン(こもった声)が有効です。
もう一度、自塾を保護者の視点、それも初めて塾と接触した保護者の視点で見直してください。あなたは普段からそこに居るため、気付かないこと、後回しにしていることがいっぱいあります。邪魔な荷物(ダンボール)が入り口前、階段、廊下、教室内…目に触れるところに置きっ放しになっていませんか?掲示板にすでに終了したイベント案内がまだ貼っていませんか?消しゴムのカスが床や机の上に目立っていませんか?
セカンド・インパクトの重要性
さて、ではセカンド・インパクトは何に影響を与えるか。答えは…信頼とか評判作りに貢献するのです。 ファースト・インプレッションで得た印象が間違っていなかったことを証明するのがセカンド・インパクト。あるいは、ギャップを作って感動を与えるのもセカンド・インパクト。 例えば私の場合、ホームページ等に出している写真は、わざと「オジン臭い」ものを使っています。私は「話すこと」を生業(なりわい)としていますので、写真の印象と生とのギャップを作って「実際に会ってみると思ったより若いね。」と思わせたいのです。あるいは「見た目はたいしたことがないけれど、話すと凄いね。」と思って欲しい。だから、そんな写真を使っています。(まあ、もともと写真写りが悪いということもあるのですが。) もう一つ、心掛けていることは、同じ団体から2度目の講演依頼があった場合、絶対に初回を上回る内容にすることです。最初が「よい」のは当たり前。2度目がさらに良いことで「この人の話はいつ聞いても凄い!」と思ってもらえる。それが継続(リピーター)につながるのです。 以前も、ある業者の2度目のセミナー依頼を受けて講演したのですが、参加の方から「1回目よりも感動しました。」と言ってもらえました。これが大事です。2度目が良ければ「あの人の話はすべて良い」というイメージを持ってもらえるのです。お蔭様で多くの団体から継続的、定期的な講演依頼をいただいているのも、「2度目の良さ」を意識して取り組んでいる成果だと思っています。(だからと言って3度目以降は手を抜いているわけではないので、その点誤解ありませぬように…) 塾も一緒です。最初(例えば入塾面談、例えば体験授業初日)が良いのは当たり前です。「客」も『最初は良いとこ見せようと気合を入れて来てるよね』と思っています。2度目が「より良く」なって初めて「ああ、この塾はいつも良いんだ!」というイメージを持つのです。 せっかく入塾面談で良い印象を与えても、2度目(体験学習等)で失敗してしまうと「何だ、化けの皮がはがれたな!」と失望させてしまいます。トン、トン、トンと畳み掛けるように好印象を3週間のうちに与えることで、それが普遍的なイメージになっていくのです。 ファースト・インプレッションは「見込み客」を「顧客」にするのに重要。セカンド・インパクトは「顧客」を『ファン』『リピータ』にするのに重要。信頼や評判作りはココに掛かっていると思ってください。