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中小塾のためのマーケティング講座46 塾業界への逆風を利用せよ!

執筆者の写真: 森智勝森智勝

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


春期の塾生募集もひと段落した頃と思いますが、今年の募集状況は如何だったでしょうか。締め切りの関係上、この原稿は3月初旬に書いていますので、あくまで予想なのですが、多くの塾が昨年以上に苦戦されているのではないでしょうか。理由は塾業界に逆風が、それも暴風が吹いているからです。


塾業界への逆風

最初は教育再生会議座長の野依氏が発した「塾を禁止すべきだ」発言です。さすがにこの妄言は他の委員からの反発が強かったようですが、ノーベル賞受賞者の発言だけに影響力は大きかったと思います。 そして週刊誌による塾業界バッシングが相次ぎました。週刊ポストには「大手進学塾が小学生を営業マンに仕立て上げている!」という見出しで、塾の紹介制度の批判記事を掲載しました。ほとんどの読者がご存知だと思いますが、4ページに渡って特集を組み、小見出しは「塾に勧誘の成績グラフを張り出す」「1人紹介すると図書券500円プレゼント」「そして問題のビデオでは生徒たちへの『指導方法』がこと細かに解説されていた」「月に1万5000円稼ぐ生徒も」「内申点まで引き合いに出し…」「他の塾でもやっている」等々、センセーショナルな言葉が踊っています。冠文は「お受験狂想曲の実態はこれだ-衝撃ビデオ入手」です。 いやあ、さすがプロの出版社?上手いものです。こうした記事の常道手段として「元社員」の暴露証言が生々しく記載されています。 次にサンデー毎日に掲載された下村官房副長官に対するバッシング記事です。これは本誌3月号で内容と反論が掲載されましたが、「…塾業界からジャブジャブと献金を貰う官房副長官の灰色癒着」というものです。私も何度かパーティー、研修会に参加させていただいていますが、記事に対しては違和感を感じています。これまで無理やりパーティー券を押し付けられたことはありませんし、献金を強要されたこともありません。参加者の発言を聞いていても無私の気持ちで下村氏を応援しようという方がほとんどです。第一、製造や建設業と違って、教育業界が政治家を利用する「旨み」がそんなにあるとも思えません。また、業界全体でも1兆円に満たない小さな業界から「ジャブジャブ」と献金が集まるはずもありません。(トヨタは経常利益だけでも1兆円超です。) 時を前後して、次のニュースが新聞、テレビで報道されました。学研の子会社で学習塾を運営している「学研ジー・アイ・シー」と関連企業の「学伸舎」が、特定商取引法違反(不実告知など)に当たるとして経産省から業務停止命令を受けたというものです。社員が電話勧誘で「1対1で個別指導をする」と偽って受講を勧誘、さらに実際にはほとんど使わない教材を約五十万円で購入させていたというのです。 さらに、京都の塾現場で起こった児童殺害事件の容疑者に懲役刑が下ったというニュースもありました。あの、忌まわしい事件を思い出した人も多かったことでしょう。 さて、これらの記事を他人事と思っていると大怪我をします。マスコミの影響は予想以上に大きいものです。軽視してはいけません。昨年の児童殺傷事件で最も影響を受けたのは中小・個人塾です。中小・個人塾は大手と違って「今年から塾に行こうか、行くまいか…」と悩んでいる家庭を対象としているところがほとんどです。その消費者マインドがほんの少し「見送り」の方向に振れただけで大打撃を受けます。昨年も「当塾は私と二人の社員、そして数人のバイトで運営している小さな塾です。そんな悪いことをする人間は1人もいません。」と、安穏(あんのん)としている塾は件並み苦戦をし、ただちに対策を講じ、保護者に、地域にアピールをした塾が塾生数を伸ばしました。なぜなら、「あなた」は内情を熟知していますが、市場からはそれが見えないからです。 情報に敏感になって直ちに対策を講じましょう。週刊ポストの件で言うと、家庭で次のような会話がおこなわれているかもしれないのです。出張中に記事を読んだ父親が言います。

父親「おい、息子の通っている塾も紹介を依頼してくるのか?」 母親「そう言えば、息子が何かそんな話をしていたわね。今度、A君を塾に誘うとか何とか…」 父親「何、息子を営業マンにしているのか!許せん。そんな塾、辞めちまえ!」

塾の評判を作るメカニズム

今回の週刊ポストの一件であらためて思うのは「評判」を作っていくメカニズムです。こうした暴露記事に必ず登場するのが「元社員」なる人物です。テレビでも顔と音声を処理して出てきますよね。 私は塾の評判は塾生でなくなった生徒・保護者が作ると主張してきました。だから、途中退塾者には手書きの手紙を送りましょうとアドバイスしています。なぜなら、途中退塾者は(たとえ自分に退塾の原因があったとしても)けっして良い評判は広げてくれません。誰かに話すときは悪評を振りまくものです。 同じことが従業員にも言えるのです。 多くの塾、特に個別指導塾は学生アルバイトを使っていると思います。それも大量に…。中には能力不足で解雇した学生もいることでしょう。気をつけたいのは、その学生が地元の住人だった場合です。 たとえ、本人の能力不足で解雇したとしても、その学生は必ず言います。 「あんな塾に通わせる親の顔が見たい!」 いわゆる「元従業員」の証言です。 この場合、内部事情に詳しい人物の証言ですから、かなりの信憑性を持って受け取られます。(その真偽は別にして…) つまり、塾生だけではなく、講師でなくなった人物が塾の評判を作っていくこともあるのです。 塾生あがりの講師を採用している塾も多いと思いますが、これも注意が必要です。元塾生は塾の中身を良く知っているので使いやすいという面はありますが、保護者から見ると、小さい頃から知っている○○君に息子を教えてもらうのは…という思いがあります。さらに問題なのは、「近所のお兄ちゃんに子供の成績が知られることは嫌だ」と思う保護者(本人も含めて)は多いということです。

ピンチをチャンスに変える

塾は口コミ・評判が8割以上を締めるという特異な業種です。それだけに外からの情報、内からの情報には細心の注意が必要です。今回は逆風の話をしましたが、実はピンチは大きなチャンスです。市場からの信頼は、こうした逆境における真摯(しんし)な対応によって作られることがあるからです。帆船は向かい風をも利用して前に進むと言います。業界全体に逆風が吹いているからこそ、一気に信頼を集めるチャンスでもあるのです。 今、塾業界はいろいろな意味で大激動期を迎えています。私は向こう十年の趨勢が今年1年の動きに掛かっていると考えています。あなたの塾が、大手塾・FC塾に対抗する第三極を作れるかどうかの勝負の年です。どうか、全精力をこの一年にかけて下さい。私は今、本誌主催の縦断セミナー等で全国を駆け回っています。ぜひ、こうした機会を利用して情報収集に努めてください。今回ご紹介した逆風の数々を知らないままでは、利用することも叶(かな)わないのですから。

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