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中小塾のためのマーケティング講座63 「面談」「電話」「文字」のコミュニケーション

執筆者の写真: 森智勝森智勝

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

2008年11月私塾界掲載分


コミュニケーションの意味とは

塾経営にとってコミュニケーションは最重要の課題です。それは全ての経営者が自覚しているはずなのですが、なかなか上手く機能していない塾が散見されます。 以前もお話したように、コミュニケーションとは「自分の思いを伝えて、相手に(自分の希望するように)行動してもらうこと」です。なぜ「夏期講習の案内」を配るのか…。当然、夏期講習を受講してほしいからです。なぜ宿題を出すのか…。家でも勉強してほしいからですね。 相手が行動に移さない働き掛け(案内、声掛け)はコミュニケーションではありません。それは単なるインフォメーションです。多くの塾がインフォメーションに過ぎない「夏期講習の案内」を配り、期日までに提出しない家庭に対して「教育意識が低いなあ」と嘆いています。ぜひ、あなたの思いが伝わり、相手が行動に移してくれるコミュニケーションを心掛けて下さい。 さて、コミュニケーションの形態は大きく分けて「対面」「電話」「文章」の3つがあります。実際に会って話すことが最も有効なのは言うまでもありません。人の意思の八十%が言語以外、つまり身振り手振りや表情で伝わると言われています。会って話すことで、互いの意思は最も理解し合えます。 これが電話になると、表情が見えないだけに細かいニュアンスが伝わりにくくなります。誤解を受けやすくなるのです。これを逆手にとって大繁盛しているのが「振り込め詐欺」です。相手の姿が見えないだけに、「お宅の息子さんが痴漢で捕まりました。私は弁護士なのですが、今なら被害者の女性も三十万円で示談にしてくれると言っています。そうしないと2週間程度身柄を拘束され、お仕事にも差し支えることになると思うのですが…。」という詐欺師の小芝居に易々と騙されてしまいます。 深刻な話をするとき、電話は避けるべきです。私は手紙や電話は「他愛も無い話題」に徹するべきだと考えています。「○○君のお母さんですか。実は今日、○○君が入塾して初めて手を挙げてくれました。嬉しくなってお電話してしまいました。○○君が帰ったら、お母さんからも褒めてあげて下さい。」こんな電話でしたら保護者も大歓迎ですし、誤解をされることもないでしょう。

文字による伝達は最も誤解されやすい

文字による伝達は、もっと深刻です。インターネットでの書き込みやメールで「嫌い!」と書かれると、誰でもショックを受け、動揺します。ところが、目の前の彼女が満面の笑みで「キ・ラ・イ・!」と言うのは…ごめんなさい、例が俗っぽくなってしまいました。

つまり、「文字」「電話」「面談」の順番で意思が伝わりにくく、誤解されやすいというわけです。この特性に注意してコミュニケーションを考える必要があります。 文字による伝達に関しては、私にもこんな経験があります。先日、セミナーでお会いした塾経営者から次のような質問を受けました。


「コンサルタントの○○氏が講演で『森が期待値を出来るだけ下げろと言っているが、それは間違いだ。期待値を下げると客が来なくなるだけだ』と言っていましたが、どうなのでしょうか?」

○○氏は私も尊敬する塾コンサルタントの第一人者です。多分、本誌に書いた私の文章(第五十回「感動を創造するために期待値を下げろ!」)を読んでの感想だと思うのですが、どうやら私の文章が拙くて誤解をさせてしまったようです。 確かに「評判」を落としたのでは客は寄り付かなくなります。私が主張しているのは「抽象的な期待値は上げるが、個別具体的な期待値は下げる工夫」です。ここで言う「抽象的な期待値」が「評判」のことであり、「個別具体的な期待値」とは「特別にプリントを出します」「分かるまで時間を延長してでも指導します」「必ず偏差値を5上げてみせます」等々の約束のことです。こうした約束を事前にすると、その期待値を上回ることが難しくなり、その先にある「感動」を創造しにくくなります。感動を提供できなければ、客に次の行動…つまり評判を拡げてもらうことも期待できません。もちろん、それに全て応えられるのでしたら問題ないのですが、少しでも下回ると、全て「不満」という形で噴出してしまいます。そうした具体的な約束はせずに、実際は最初の3ヶ月までに「特別プリント」も出し、「延長授業」をしてでも「偏差値5」を上げてみせるのです。それが評判を創っていきます。 また、ここ(個別具体的期待値を上げる)にはもう一つ、重大な危険が潜んでいます。 これは、ある塾が最近のセミナーで公表したデータなのですが、退塾理由を外部調査会社に委託して調べてもらったところ、何と、そのトップは「成績が上がらない」を押さえて「塾が言ったこと(約束)を守らない」でした。前述の「不満」は退塾の大きな原因になってしまうことがデータで裏付けられたのです。 塾(講師)は様々な約束を生徒、保護者と交わします。例えば、個別指導塾ならば、欠席したときの振替授業などは日常的に発生しています。ところが、生徒が「約束の日」にやってくると、現場の講師に伝わっておらず、何の準備もされていなかった…。こうしたことが不信感を生みます。入塾時に交わした「約束」が守られなかった場合、それは「あっ」と言う間に不信感へと転換してしまうのです。何気なく交わした約束が不信感の芽になっているとしたら怖いことです。 以上のように、評判を上げるための手法を説明したつもりなのに、「それでは評判が下がってしまう」と理解されてしまったのです。文字で伝えることの難しさを身をもって知らされました。(当然、読者の中にも誤解された方がいらっしゃると思い、お詫びを兼ねて補足説明させていただきました。)

つまり、コミュニケーションの手段もTPOを考えて選択すべきなのです。

これは顧客との関係だけではなく、職員、スタッフとのコミュニケーションについても言えることです。極論ですが、何の説明もなくいきなり解雇通知を突きつけられたら、誰でも怒るでしょう。コミュニケーションは思いを伝えて行動してもらうこと…そのための手段は何が最適か…ぜひ、事前に考えて下さい。

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