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  • 執筆者の写真森智勝

中小塾のためのマーケティング講座66 説明会を成功させる話法を磨け

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

2009年2月私塾界掲載分

今、受験シーズンと春期募集シーズンを同時に迎え、塾の現場では心身ともにフル回転の状態が続いています。このままゴールデンウィークまで休日返上で働くという方も多いと思います。体調に留意してご活躍下さい。 さて、春期の大きなイベントとして保護者対象の説明会を開く塾も多いことでしょう。その成否が継続通塾や新規生獲得に大きく影響します。今回は説明会の方法、特に話法について解説します。

説明会では「あなた」がマスター

当然のことながら、第一に心掛けなければならないことは、来ていただいた保護者に「参加してよかった」と思ってもらえる説明会にすることです。こうした説明会を「有料」で実施するところはないと思います。すると、ややもすると「タダだから問題ないだろう」と勘違いして、セールストークに終始してしまうことがあります。新年度カリキュラムについて、春期講習について…いわゆる商品説明ばかりの説明会になってしまいます。これでは参加者は疲れるだけです。売り込みをされるのが好きな人など存在しません。また、料金は取らないにしても、保護者は貴重な時間を割いて参加しています。がっかりさせて帰したのでは、せっかくの説明会が逆効果になってしまいます。保護者にとって有益な情報を1つでも多く持ち帰ってもらうこと…ぜひ、それを心掛けて下さい。客は「商品説明はパンフレットがあれば充分だ」と考えているものです。 そこで、例えば「子供の意欲を引き出す5つの方法」とか「悔いのない受験のために親ができること」などのテーマを設けて、商品説明ではなく、いわゆる「教育説明会」にすることをおススメします。「あなた」が講師となって保護者を指導する場にするのです。 ところが不思議なことに、「三者面談は得意だが、大勢を前にしたスピーチは苦手で…」と尻込みをする塾経営者が少なくありません。とても1時間も相手を退屈させずに話すことは出来ないというのです。休みの日にわざわざ説明会に来てくれる保護者の多くは塾の応援団です。多少話が下手でも熱意が伝われば問題ないのですが…今回は話のコツをお教えします。 絶対条件として「自信満々な態度」で話すことです。あなたの主張を訴えたいときは断定調で表現します。もともと、あなたの言葉で表現されることは、あなたの考えのはずです。それをわざわざ「私は~思います」と表現してしまうと、主張の威力が半減します。次の文章を比べて下さい。

(A)私は、学力を上げる最大の要素は勉強時間をどれだけ確保できるかだと思います。 (B)学力の向上は、勉強時間の長さに比例します。

(A)のように「私は~思います」と表現すると、聞き手は「あなたはそう思うかもしれないけれど、別の考えを持っている人もいるかもね。それに、それは指導力不足をごまかしているだけじゃないの?」と考えてしまうのです。これでは「あなたの主張」を相手の胸に突き刺すことはできません。 日本人は謙虚なので、自分の意見を押し付けがましく話すことが不得手です。そのため、国際的には「意見を言わない」「顔が見えない」と非難されてしまいますが、(その美点は大切にしたいとは思いますが…)塾の現場、生徒や保護者に対してマスターでなければならない教師にとってはマイナスの要素でしかありません。

謙虚さは自信の無さにつながり、信頼を得るための大きな障害になります。

例えは悪いですが、一流の?詐欺師は実に堂々とした態度で人を騙します。学習指導、進路指導ではマスターである「あなた」が、自信無さそうな態度や表現をしていたのでは生徒や保護者が不安になります。不安は「あっ」という間に「不満」に転換されます。たとえ、子育てに関してはビギナーでも学習指導に関してはプロであるという立場で話すことです。

工夫ひとつで話は説得力を持つ

私は「講演で飯を喰っている」立場上、説得力のある話をしなければなりません。また、説得力があっても聞き手を退屈させることは絶対に避けなければなりません。そのために1つの工夫をしています。結論を伝える前に、必ず寓話や物語を「例え話」として挿入するのです…こんな感じです。

戦国時代、群雄割拠した戦国大名が天下の覇権を競っていた時代、なぜ、信長が最初に京都に旗を立てることができたか、ご存知ですか? 様々な理由があるのですが、最も大きな原因は「兵農分離」です。それまでの兵は9割が農民で武士は全体の1割程度です。ですから、戦(いくさ)は農閑期にしかできず、とことん戦うことが不可能でした。 あの有名な武田信玄と上杉謙信の「川中島の戦い」が最後まで決着しなかった理由もそこにあります。ところが信長だけが戦う専門集団を作ったのです。そのため、信長軍は長期戦が可能になり、天下統一へと邁進することができました。 そして、もう一つ、実はもっと重要な決定的な理由があったのです。それは…
ところで、塾経営者に「今期の目標」を尋ねると、「一人でも多く」という返事をする人がいます。これって目標でしょうか。同時に、そうした答えをする人は、心のどこかで「自分には塾生100人は集められない」と思っています。 そう、見えない「象の鎖」が絡みついているのです。そうした人は当然のこととして「失敗」に終わるのですが、その失敗も認めたくない。そこで「一人でも多く」という抽象的な表現をするのです。 これならば、塾生が増えなくても自分が傷付かずに済むからです。確かに自己弁護はできますが、それではいつまで経っても本当の意味での「成功」は掴めません。
先ほど「戦国大名が天下の覇権を競って」と言いましたが、あれは嘘です。 あの当時、本当に天下統一を考えていたのは「信長」唯一人です。彼は美濃を征服した時、地名を「井ノ口」から「岐阜」と改めました。中国の天子が「岐山」から勅命を出したという故事にちなんでいます。(阜=府)そして、「天下布武」という印を使います。 そう、彼が天下統一を果たした最大の理由は、彼だけが「天下統一」という明確な目標を持っていたことにあるのです。
あなたの足に絡み付いている「象の鎖」を引きちぎり、クレバスを飛び越え、新しい世界へ一歩を踏み出しましょう。「明確な目標」は、新しい世界への扉を開くパスポートです。

セミナーでよく使う「信長」の話です。聞かれた方も多いと思います。こうした例え話は、話全体に変化とふくらみを持たせ、聞き手に対する説得力を向上させる働きを持っています。また、話す順番も重要です。これを、「もう一つの理由は信長だけが明確な目標を持っていたからです」と結論を言った後で「だから、あなたも明確な目標を持ちましょう」と言っても説得力に乏しい。「信長と一緒にするな」と反発されるのがオチです。また、話も平坦になってつまらない。まだまだコツはあるのですが、まずは「例え話を探すこと」から始めて下さい。それだけで「あなたの話」が魅力的になることをお約束します。

塾業界は高度情報化市場

高度情報化社会では「何を伝えるか」よりも、「誰がどうやって伝えるか」の方が重要になってきます。なぜなら、成熟した市場では「全ての商品が優れている状態」を形成するからです。トヨタの車の良さを熱心に説明しても、「その車がいいのは分かった。でも、日産もホンダも三菱でも同じように良い車でしょ?」と思われてお終いです。それが「高度情報化社会」です。物に優劣があった時代、いわゆる「情報化社会」では「何を=商品の優れた点」を伝えればよかった。 塾業界は淘汰の時代を終え、高度情報化市場に移行しています。「あなたの塾」も素晴らしいけれど、「隣の塾」も同様に素晴らしいのです。誰がどうやって伝えるか…伝える技術を疎かにしませんように。

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