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  • 執筆者の写真森智勝

中小塾のためのマーケティング講座92 ハリウッド・パターンの応用[2]

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

2011年4月私塾界掲載分


-研修はスキルUPだけが目的ではない-


研修の目的は技術の向上と人間力の向上

前回に引き続き、ハリウッド・パターンを研修に応用する方法をお伝えします。 ハリウッド・パターンとは、人に感動を与える最も基本的なストーリー展開であり、その特徴は次の点でした。


  1. 冒頭、大きな事件、とんでもない事態が起こる

  2. 問題が深刻化し、危機感が募る

  3. 主人公は物語の中でメンターの力を得て成長する

  4. 大どんでん返しでハッピーエンドを迎える

  5. 最後に未来を暗示する場面で終了する

研修の初日に、[1]の「ファースト・インプレッション」を与えることが重要だと先月号で説明しました。今回は、その続きです。

[2]に当たるのがセカンド・インパクトです。人は、最初の印象で行動の一歩を踏み出しますが、まだ疑心暗鬼です。本当に自分の選択が正しかったかどうかに不安を持っています。そこに畳み掛けるように「セカンド・インパクト」を与えます。研修ならば、2回目~3回目でしようか。ここで、「ああ、ここは自分が成長できる場所だ」と実感させることが必要です。自分の選択に間違いはなかったという確信を与えます。

方法としては、研修を2つに分けます。1部を「理念」中心に。2部を「テクニック」中心にします。

「理念編」では塾の指導理念を浸透させた後、「なぜ、子ども達は学ばなければならないか」「なぜ、国語を学ばなければならないか」「なぜ、受験は必要か」等々のテーマで討議し、塾全体としての理論武装を構築します。

こうした取り組みが、普段の授業で、あるいは面談で…ありとあらゆるコミュニケーションの場面で生きてきます。運動会だって予行演習がありますし、防災の日には国中で避難訓練をします。軍隊の日々の活動は全てが軍事訓練と言っても過言ではありません。理念を伝えるにも「訓練」は絶対に必要です。あらかじめ何度も言葉にしていることだけが、とっさの時に使えるアイテムです。「熱く語る練習」をしていない人は、生徒に対して、保護者に対して熱く語ることはできません。

「テクニック編」は「模擬授業」と「コミュニケーション練習」を行ないます。

代表者数名が10分程度の模擬授業をして、参加者全員で意見を出し合います。声の大きさ、板書の仕方、説明の工夫…こうした細かいことを積み重ねている塾と、そうでない塾とには大きな差が生まれます。「神は細部に宿る」という格言を思い出してください。授業最初の3分間スピーチも重要です。どんな話題で子ども達の意識を授業に向けるか。毎日の情報からGOOD&NEWSを選択して下さい。コミュニケーション練習は普段の褒め方・叱り方と面談の在り方をワーク形式で進めるといいでしょう。

[3]のヒーローの成長は、まさに社員(アルバイト)が自ら「成長したなあ」と実感できる場面を作ってあげることです。

ここでは、あなたの承認力が問われます。日本人は、弱点を指摘するのは得意ですが、成長点を見つけて褒めることが苦手です。少しくらいのことで相手を褒めるのは照れ臭い気持ちも分かります。私もそうです。

しかし、誰もが承認されたいという欲求を持っています。褒める時は大袈裟なくらいで丁度いいと思って下さい。演技をするつもりで褒めてあげて下さい。

もちろん、Iメッセージで伝えます。

「君は上達したなあ。私も嬉しいよ!」

あるいは、伝聞を使う方法も有効です。

「○○君のお母さんが、君に本当に良くしてもらっていると感謝していたよ。こうした言葉をもらえて、私も嬉しいよ!」

もちろん、悪い点はしっかりと指摘することも大切です。ただし、貶(けな)さないこと。人格否定をするのは絶対にNGです。

人は、自分の成長を自分では実感できないものです。ですから、他者(あなた)が客観的な評価をして成長を認めてあげることが必要です。それも、定期的な研修をしていればこそ、その成長度が測れるというものです。

マーケティング的な手法として大切なことは、そうした過程(日々研修に取り組んでいること)を地域に情報発信をしなければなりません。

「人は成長しようとする者に自己投影する」原則は、ここでも生きています。常に進歩しようと努力する者に人は感動し、信頼感を持つのです。あなたが、あなたのスタッフが日々成長しようと努力している様子を地域に伝えて下さい。

これも日本人の苦手なところです。どうしても自分の努力している姿をアピールするのが照れ臭い…と言うか、潔(いさぎよ)しとしない。しかし、本当に努力しているのなら、堂々と伝えるべきです。ここを躊躇(ためら)うことはありません。

最後の[4]の大どんでん返しは研修には通用しませんが、ただ、1年間のけじめとして「修了書」の授与式を行なうのは「有り」です。

で、何かネーミングを考えて、研修を受講した優良教師であることを強調します。スタッフにも研修を終了したという充実感を与え、生徒・保護者にも信頼感を持ってもらうアイテムとします。例えば…ネームプレートの色を変えてランク制にするとか…。

この辺りは遊び(ゲーム)感覚で、皆が楽しみながら研修に取り組めることを目的にしていいと思います。


[5]の未来暗示は、次年度以降の取り組みの予告と、こうした取り組みを通して塾全体がどこへ向かっているのかを提示します。スタッフ全員が同じベクトルに向かって意思統一することは、組織を強化し、動かすためには欠かせない要素です。

一歩の行動が景色を一変させる

以前も御話したことがあるのですが、中小塾はこうした研修(人材育成)に消極的なところが多い。

OJTと言えばカッコイイのですが、内実は「全ては現場で学べ」とばかりに放任していることはありませんか?

学生アルバイトも、テストで学力だけを測って、いきなり授業に投入していませんか?

それでは講師間の力量にバラツキが出来るだけではなく、スキルの向上も図れません。最初から完璧な研修が出来なくても、まずは一歩を踏み出すことです。


「万華鏡の法則」と勝手に呼んでいるのですが、万華鏡は筒の中で、ほんの少しの要素が動くだけで見える景色は一変します。塾経営も同じです。ほんの少し手法を変えるだけで、塾の風景は変わるものです。

今後の塾業界は原点回帰の動きが強まると予想しています。塾教師に集約されるマン・パワーを向上させる塾が地域の支持を確実に得ていくことでしょう。IT、映像教材といったデジタル(形式知)が発展すればするほど、人はアナログ(暗黙知)を選択基準として重要視するのです。

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