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  • 執筆者の写真森智勝

中小塾のためのマーケティング講座96 ワン・ツー・ワン・マーケティングの極意

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

2011年8月私塾界掲載分


-AKB48総選挙に学ぶ-

3年目を迎えたAKB48の総選挙が行なわれました。「国民的行事」と呼ばれ、スポーツ紙や週刊誌だけではなく、一般紙でも報道される一大イベントです。きっと、塾生たちの関心も高かったのでしょう。数名の中心メンバー以外、顔も名前も分からない門外漢ですが、その騒動を伝えるバライティ番組の中で興味深い事例を発見しましたので、皆さんとシェアしたいと思います。


マーケティングの基本はワン・ツー・ワン

今回の総選挙で躍進したのが柏木由紀さんです。前回の8位から3位へとジャンプアップしました。ファンの方には申し訳ないのですが、取り立てて美形というわけでもなく、どこにでもいる育ちのいいお嬢さんという風貌です。その柏木さんが人気を集めた理由が「握手会のふるまい」にあると専門家?は言います。彼女はファンと握手する時、二度目の参加者には「覚えているよ」と声を掛けるのだそうです。それがファンの心をわしづかみにしています。AKB48の握手会ともなると1万人を越えるファンが集まります。その全ての参加者の顔を覚えているとは信じられませんが、その努力をしていることは間違いないようです。


ファンの心理を想像してください。あこがれのアイドルから「覚えているよ」と言われたら、それだけで舞い上がってしまいます。きっとディープなファンになっていくことでしょう。ここに、ワン・ツー・ワン・マーケティングの極意があります。


誰もが自己承認の欲求を持っています。自分を認められたいと願っています。

その基本は顔と名前です。例えば、一般社員が社長から「そこの君」と呼ばれるのと、「山田君」と声を掛けられた時の心理的違いを考えると分かります。人はワン・オブ・ゼムとして扱われることに拒否反応を起こします。


田中角栄氏は、一度会った人の顔と名前を覚える天才だったと言われています。それが、彼が宰相まで登り詰めた要素のひとつです。

帝国ホテル伝説のドアマンは、五千人以上の常連客の顔と名前を覚えていたと言います。

また、木村拓哉さん主演のドラマの中で、パーティーに出席した二代目社長に付き添った専務が、出会う相手の名前と肩書きを耳打ちする場面もありました。専務が「できる男」であることを表現したシーンです。


さて、あなたは塾生の顔と名前を全て覚えているでしょうか。あなたのスタッフは、塾生の顔と名前を全て覚えているでしょうか。


玄関で送迎をする時、通り過ぎる塾生に「こんにちは」「さようなら」と声を掛けるのは当然として、その時、「山田君、さようなら」と名前を添えてあげることです。すると、その時の「さようなら」は、山田君にとって「自分だけに掛けられた声」になります。先生が自分を承認してくれていると実感できる瞬間です。


この時期、途中入塾してくる生徒に対して、授業担当者が「ん?誰だ?」という対応をしている塾があります。入塾面談は塾長、あるいは教室長がしていますので、現場の先生まで詳しい情報が伝わっていないのです。中には、それから慌てて教材の準備をすることさえあります。その時の生徒、その話を聞いた保護者の心の中では確実に「軽んじられている」という思いが湧き起こります。


年度途中で担当教師が交代した時、新任の教師が名簿を見ずに全ての生徒の名前を言って出席を取ることができれば…生徒は間違いなく感動します。


「どうして僕達の名前を知っているの?」 「うん、君たちと早く仲良くなりたくて、クラス写真を見ながら覚えたんだ」

こんなやり取りから始まれば、年度途中の教師交代というマイナス点も補えるのではないでしょうか。

一歩進めて、お迎えに来ている保護者(たいていは母親)の顔もスタッフ全員が覚えることです。「山田君のお母さん、いつもお迎えご苦労様です」と知らない教師から声を掛けられたら…母親は間違いなく感動します。面談した教室長でもないスタッフが顔を知っていることに驚くと同時に感激します。


以前もお勧めしたことがありますが、入塾面談時に記念写真と称して生徒と保護者の姿を撮影しておくことです。そして、ファイリングして全スタッフに配布します。

顧客の顔と名前を覚えることは、ワン・ツー・ワン・マーケティングの基本です。


もちろん、全ての顧客を覚えるのは至難の業です。しかし、だからと言って諦めてしまう塾と、それでもチャレンジする塾と、どちらが支持をされるかは言うまでもありません。マズローの五段階欲求を持ち出すまでもなく、承認の欲求は誰もが持っている高次元の欲求です。


業界の淘汰が進み、今、存続している塾はどこも一定のレベルのクオリティを維持していると考えて間違いありません。そこから一歩抜け出すには、何か一つ顧客に「凄い」と言わせる要素が必要です。その「凄い」が口コミ・評判を作っていきます。

そして、それは目に見える「形」にしなければなりません。いくら「一人ひとりのために面倒見良く」と主張しても、相手に承認されなければ意味がありません。「一人ひとり…」の第一歩として、顧客の顔と名前を覚えることから始めてみませんか?


AKB48のコンセプトは「会いにいけるアイドル」です。どれほど全国的な人気者になっても、席数300足らずの劇場公演が彼女達の原点です。そこでは意識してかどうかは別にして、確実にワン・ツー・ワン・マーケティングが展開されています。


健全な競争の場を提供せよ!


最後に彼女達の人気の秘訣をもう一つ。

彼女達は総選挙に代表される過酷な競争社会・階層社会を日々過ごしています。それも全力で。誰かが懸命に努力している姿に人は感動し、応援しようと考えます。そこには勝者を称え、敗者の健闘にも賞賛の声を送る「場」が作られます。当事者も関係者もファンも巻き込む強烈な吸引力が生まれます。

学校現場から競争が否定され、熱が失われている現在、彼女達が放つ「剥き出しの競争意識」が一種爽やかな(スポーツにも通じる)エネルギーとなってファンの心に届くのでしょう。


あなたの塾がそうした「場」、生徒達が全力で健全な競争する場を提供できれば、保護者や地域を巻き込んで吸引するエネルギーを作り出すことができます。

「集客」の根本要素は、そうしたエネルギーを創出することにあるのです。人は、ぬるま湯で熱狂することはありません。

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