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塾・新時代のマーケティング論(47) 社員のモチベーションを高める目標設定を

執筆者の写真: 森智勝森智勝

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

年が明けて1ヶ月が過ぎました。評判の悪い?定額給付金を含む第二次補正予算も国会で通りましたが、そうそう簡単に景気は回復しそうにもありません。また、年度末までに職を失う人が数十万人と予想されています。こうした状況下では消費者の行動(消費行動)が一層鈍くなると予想されます。消費者心理は世間の空気?に左右される傾向が強いものです。

塾業界に関わることで言えば、例年にも増して入塾決定時期が遅くなることが予想されます。すでに、いくつかの塾から「第一弾の春期募集広告」の反応が悪いという声も届いています。それも当然のことでしょう。ここまで不況、不況と連呼され、日本を代表する大手企業が多額の赤字を計上するニュースばかりに触れていると、保護者としても(たとえ個人的な経済状態は変わっていなくても)「根拠なき不安」から逃れることはできません。塾側としては5月まで、あるいは夏期講習までを視野に入れた長期的な募集戦略を考える必要があります。

そして、最も力を入れなければならないことは「継続生」の確保です。どうしても新規顧客獲得コストが上がりますので、新学年移行を契機とした退塾者を少なくしなければ、春期の売上・利益の確保は難しくなります。

こうした話をすると、「日頃のコミュニケーションをもっと深めることだ」という結論に落ち着くことが大半です。もちろん、それは正論です。しかし、そこで思考をストップさせてしまうと、結局、何の対策も採らないという「無勝手流」になってしまいます。現場の教師達にすると、「今さら言われなくても、普段からコミュニケーションには十分に気を配っている」と思っているものです。また、実際にも出来る限りのコミュニケーションを図っていることでしょう。何か「形」として表せる対策を講じることをおススメします。

例えば、(塾のキャラにもよりますが)生徒達がワクワクするようなイベントを新学期初頭に実施するのも効果があります。極端な話ですが、浜崎あゆみコンサートを5月に開催することを予告すれば、大半の退塾者は防げるでしょう。退塾の迷いを払拭するだけのインパクトがあるからです。後は費用対効果の問題です。浜崎…は本当に極端ですが、一度、「極端」に考えてみると思いもしなかったアイディアが浮かんでくるものです。ゴルフをされる方は解かると思うのですが、スライスを矯正するには極端なフックを打つことから始めるのと同じ理屈です。

さて、そんな新年度に向けて目標を立てていることと思いますが、その目標は適正でしょうか。例えば、あるイベントの動員数の目標を決める会議の場での様子です。

管理職:「昨年の動員数が約3,000人だから、今年は3割アップで3,900人を目標にしよう。かなり高い目標だとは思うけど、既存のお客様の掘り起こしや、紹介のお願いなどをして、なんとか達成させよう。みんないいかな?」 部下(心の中で):「高すぎるよ。ムリムリ。去年あれだけ苦労して3,000人なのに。絶対ムリ!できるわけないって!」

高すぎる目標に対し、全くやる気なしの状態です。よく、「目標は高い方が良い」と言いますが、イベントだけではなく、塾生数や売上についても高すぎる目標は意味を成さないものです。高すぎるハードルを目の前にした人は、跳ぶ前に諦めてしまいます。社員がやる気を持って取り組んでもらえる、そんな目標はどうしたら設定できるのでしょう。

心理学的には、やる気が出る目標とは「成功確率が50%~90%」の目標だと言われています。

とても達成できそうにない目標ではやる気は出ません。(成功確率が低い:0%~49%)

逆に簡単に達成できそうな目標でもやる気は高まりません。(成功確率が高い:91%~100%)

「難しすぎず、簡単すぎずの目標」がやる気を引き出す目標ということです。しかし、どうしたら「難しすぎず、簡単すぎず」を判断できるのでしょう。

4年前、前回のWBCでのイチロー選手のコメントを思い出してください。その言葉にヒントがあります。

負ければ決勝トーナメントへの進出がほぼ絶望となる韓国戦で敗れたときのコメントは「ボクの野球人生でもっとも屈辱的な日」でした。本当に悔しかったのでしょう。しかし、日本は奇跡的に決勝トーナメントに進み、世界一に輝きました。優勝したときのコメントは「今日は、ボクの野球人生で最高の日」です。最大の悔しさと最高の喜びをこの大会で感じたことになります。

もし、当たり前に優勝できる大会だったら(成功確率が高い)、優勝しても「人生最高の日」とは言わなかったでしょう。逆に、優勝なんて夢のまた夢の大会だったら(成功確率が低い)、韓国に負けたとき「最大の屈辱」とまでは思わなかったはずです。

イチロー選手のように、「達成できたら本当に嬉しい、達成できなかったら本当に悔しい」、そんな気持ちになれる目標。大雑把ですが、これが「難しすぎず、簡単すぎず」の成功確率50%~90%の目標といってもいいのではないでしょうか。

以上はコンサルタントの宇井氏から学んだ目標の立て方なのですが、ぜひ、今年度の目標達成率をスタッフ一同で検証してみて下さい。もし、達成したことを当たり前のように受け止めているとしたら、その目標は低すぎたのです。また、達成できていないことを悔しがっていないとしたら、その目標は高すぎたのです。そうした毎年の積み重ねの中で適正な目標は作られていきます。また、そうでなければ目標を立てる意味もありません。もともと目標とは社員のモチベーションを向上させるために存在するのですから。

ぜひ、社員が「達成して喜び、達成できなくて悔しがる目標」の設定を心掛けて下さい。

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