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塾・新時代のマーケティング論(67) 進路面談を塾の評判作りの場にするⅡ

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。  前回、面談の重要性についてお話しました。今回は具体的なシュミレーションをしてみます。まずは悪い例です。  あなたの塾では、こんな面談をしていないでしょうか。夏期講習、模擬テスト終了後の面談を想定しています。 担当者 こんにちは。今日は暑い中、ご来塾いただき、ありがとうございます。 保護者 よろしくお願いします。 担当者 早速ですが、8月末に実施した県模試の結果です。 (帳票を広げて本人・保護者に見せる) 担当者 え~、数学の偏差値が45、英語が40、国語が52、理科が50、社会が60です。全体では49、平均までもう一歩ですね。前回と比べると、偏差値で2ポイント上昇しています。社会が10ポイント伸びたのが原因でしょう。夏期講習で頑張ったのがよかったですね。科目別に見ると、数学では計算の分野は平均を取っていますが、方程式の文章題とグラフの問題が出来ていません。英語は全般的に苦手なようで、基本から取り組む必要がありますね。(その後、国語、理科、社会と続く) 保護者 数学と英語は塾でも勉強しているはずなのに、なかなか伸びないですね。 担当者 (ギクリ!)でも、入塾した頃に比べると、落ち着いて勉強する態度は身に付いてきましたよ。こちらの帳票が志望校の合否判定です。う~ん、第一志望は変わらず○○高校と登録したんだね。今回もD判定で合格率は50パーセント以下になっていますね。正直言って、そろそろ志望校を再考したほうがいいかもしれません。やはり、第一志望は公立でお考えですか? 保護者 はい、できれば公立へ行ってくれたらと思います。 担当者 □□君はどう? □□君 僕も公立へ行きたい。 担当者 そうか、それならばランクを1つ下げて△△高校を目指した方がいいかな。それでも、まだ偏差値を5ポイントは上げなければならない。今からそれだけ上げるのは、けっこう難しいよ。ところで、家で、ちゃんと勉強はしているの?お母さんから見てどうですか? 保護者 部活も終って勉強する時間はあるはずなのですが、その分、ゲームをやったり、テレビを見たりする時間が増えて、勉強時間はあまり変わっていないように見えます。 □□君 そんなことないって!ちゃんと、勉強しとるわ! 担当者 自分はそう思っていても、周りの人が認めないと、「やっている」とは言えないな。9月の初めに言ったよね。受験に向けて気持ちを入れ替えて頑張ろうって。我々も頑張りますので、ご家庭での指導もよろしくお願いします。他に何か、気になる点はありますか? 保護者 まあ、本人がもう少し、ヤル気になってくれないと… 担当者 □□君、そろそろ本気でやろうな。塾でも、今まで以上に気合を入れて行くからな。 □□君 ・・・ 担当者 今回の模擬試験の結果をご自宅でじっくりと見ていただいて、お父様も交えて一度、志望校変更の件、ご相談下さい。それからこれは…10月から始まる受験対策講座の案内です。ぜひ、受講をお願いします。 保護者 はぁ… 担当者 じゃあ、□□君、頑張るんだぞ!ご家族で相談したら、結果を教えてね。今日はお忙しい中、ありがとうございました。 保護者・□□君 ・・・  多分、この親子は憂鬱な面持ちで帰路に付くことでしょう。いったい、この面談のどこが悪いのか、検証してみます。  まず、模擬テストの結果説明が前回指摘した評論家になっています。長々と結果説明をしても建設的ではありません。塾生・保護者は、その結果を受けた対策を知りたいのです。次に、志望校のランクを下げる提案や説教調の話など、相手のモチベーションを下げる話題に終始しています。これでは、成績不振の原因を生徒本人に押付けているだけです。塾に対する期待感も下がる一方でしょう。その時点で「受験対策講座の案内」を手渡しても、保護者の気持ちはただ1つです。「…はあ、またお金が掛かる…」これです。  最大のマイナスポイントは、途中、「塾で受講している科目が上がらない」と保護者からクレームが入った時に、全く別の話題で逃げていることです。その瞬間、保護者は「誤魔化された」と感じます。担当者は上手く切り抜けたつもりかもしれませんが、信頼が地に落ちた瞬間です。  次回、同じシチュエーションでの好ましい面談方法について解説します。(次回パート3に続く)

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