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  • 執筆者の写真森智勝

塾・新時代のマーケティング論(69) 地域一番塾を目指す競争に妥協は禁物

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

 とある塾の経営者が、某出版社より小学校教師向けの「算数の文章題指導書」を出版することになりました。5分冊の力作です。その前書きを依頼され書き送ったところ、担当編集者から次のような返答があったそうです。

「あなたの文章は売り物になるレベルには全く達していない。だから、私たちが大幅に手を入れたものに差替えるので了承して欲しい。申し訳ないけれども、文筆の才能はありませんね。」

 当の経営者がひどく落ち込んで報告してくれました。  私もニュースレターやセミナーでは「耳の痛い話」をします。他の講師や協賛企業の方から心配されるほどです。しかし、私は1つのルールを守っているつもりです。


 「相手の本業については厳しく指摘するが、周辺要素には寛大に接する」


 あなたは塾の経営者ですから、授業(商品)や経営法(マーケティング)に関しては厳しく指摘します。それが「あなた」のためであり、その向こう側にいる生徒や家庭のためだと信じているからです。ですから、直筆の手紙は書いた方がいいと力説します。しかし、字の上手・下手に関しては論じません。「あなたはペン習字の先生ではないのですから、字が下手でも構いません」と言っています。間違っても、「あなたの字は下手ですね。売り物になるレベルではありません」とは言いませんし、言う必要もありません。  よく考えて下さい。今回、この先生が出版するのは「算数の文章題で構成された指導書」です。その内容が「売り物にならないレベル」ならば編集者として指摘し、変更を要請することは正しい。そこに妥協してはいけません。  しかし、「前書き」はこの先生の本業ではありません。その「周辺要素」について、ここまで酷評するのは筋違いもいいところです。もし、そう思ったのならば、穏やかに「前書きは多少、手を加えさせていただきます」と言えば済む話です。  この編集者の言っていることは、水泳の選手に向かって「あなたの走力はオリンピックのレベルに達していませんね」と言っているのと同じです。絶対に理不尽です。  でも、どこにも「学び」はあるものです。我が身を振り返ってみましょう。学習指導を生業とする我々は、子供の何に厳しくし、何に寛容であるべきか。また、自分自身やスタッフに対しても同じです。厳しくする部分と寛容の部分を仕分けるべきです。ややもすると、人は必要な部分に甘くなり、どうでもいい部分に拘(こだわ)ったりするものです。  まず、我々塾人も生徒に対して同じような「言葉の暴力」を浴びせていないかという反省をしましょう。ややもすると、熱意のあまり行き過ぎた表現をしてしまうことがあります。そのことで傷付いている生徒がいるかもしれません。同じことを伝えるにしても言葉の選択肢は様々です。どの言葉を選択するかによって人間性が表れます。  我々はガラス細工の心を持った子供たちを相手にしています。特にこれからの受験生は緊張感と感受性が高くなります。「あなたの学力は○○高校合格のレベルには全く達していない」などという剥(む)き出しの表現で、生徒を傷つけることがありませんように。  また、前述のように、あなたは字が下手でも話が下手でも構いません。それを理由に文章を書かなかったり、保護者会をしなかったりする方がマイナスです。この部分は一所懸命に取り組んでいる熱意が伝われば充分です。  しかし、授業という「商品」に妥協してはいけません。塾人としての矜持(プライド)は、そこにこそ宿らせる必要があります。そして、経営者としては「経営」にトコトン拘らなければなりません。我々は趣味で塾経営をしているのではないのですから。  そこまでして塾生を増やしたいとは思わない…これは、中小塾の経営者から、しばしば聞かれる台詞です。違う。絶対に違う。それは好き嫌い…趣味の世界の話です。そこまでしてでも塾生は増やさなければならないのです。それがビジネスをしている者の責任です。(当然ですが、「そこまで」の中に犯罪行為は入りません。念のため。)  すべての活動は大きく二つに分かれます。個人的活動と社会的活動です。前者の代表が趣味であり、後者の代表がビジネスとボランティアです。社会的活動とは、社会に対して貢献することを意味します。我々は塾経営というビジネスを通して社会貢献を目指す存在です。そうした厳しい思いを持った塾同士が健全な競争をし、塾のクオリティを高め、より優れた学習環境を地域に提供する…それが我々塾人の為すべき社会貢献の王道です。  塾業界再編の動きは急です。好むと好まざるとに関わらず、全ての塾人が渦中に存在しています。今、必要なことは、地域一番塾を目指す競争に参加する覚悟を持つことです。縮小均衡市場では、1番店にならなければ生き残れないという原則があります。かつてのような拡大発展時代ならば問題はありません。市場が10パーセント伸びている時は、去年と同じことをしていても、業績は勝手に10パーセント伸びる計算になります。  この地域一番塾を目指す競争に妥協は許されません。「共存共栄」とは、熾烈な競争の過程において刹那的に実現される現象に過ぎないのです。

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