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  • 執筆者の写真森智勝

塾・新時代のマーケティング論(74) 政府の震災対応に見るリーダーの資質

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

 今年の流行語大賞は「ただちに健康に被害を与えるレベルではない」でしょうか。「シーベルト」「ベクレル」という単位も馴染みになってしまいました。福島の原発事故は、浜岡原発の停止により、いよいよ全国規模の問題に発展しそうです。  我々は「ただちに」と言われると、「では、5年後、10年後はどうなのだ」と思ってしまいます。「一日も早く」「早急に検討する」は、「やる気がない」と理解します。  菅総理大臣の会見を聞いていると、語尾のほとんどが「…思います」「…考えます」になっていることに気付きます。例えば、4月12日の総理談話から抽出すると以下の通りです。 「お見舞いを改めて申し上げたいと思います」「感謝を申し上げたいと思います」「表明させていただきたいと思います」「このように思っております」「3つの考え方を申し上げたいと思います」「3つの原則を申し上げたいと思います」「提案してまいりたいと考えております」「政府が責任を持たなければならないと考えております」「このようにお願いを申し上げたいと思います」「望んでおられると思います」「このように考えるところであります」「このように思うところであります」  段落の文末が「思います」「考えます」のオンパレードです。なぜ、「お約束します!」と言い切らないのか?…言質を取られ、後から責任問題になるのが怖いからです。「いや、お約束したいとは思ったが、諸般の事情で難しかった」と言える余地を残したいからです。後ろの官僚が知恵を巡らせて、そうした文章を作っているのでしょう。  もともと、発せられた言葉は発信者の「思い」や「考え」であることは当たり前のことです。そこにわざわざ「…思います」を付ける必要は基本的にありません。  リーダーが「思います」を連発されては困るのです。あなたは、あなたの塾(教室)のリーダーです。その「あなた」が「思います」を連発してはいけません。相手が不安になるからです。  「○○高校、受かると思います」  こんな進路指導(相談)をしていたのでは失格です。「君なら○○高校、絶対に受かる!」と言い切ってあげるべきです。そして、「私を信じろ!」と言ってあげてください。もともと、受かるか落ちるかは誰にも分からないことです。そんなこと、言うまでもありません。ならば、生徒が不安のまま受験に取り組むよりも、その不安を全て塾に預けてもらって、一心不乱に勉強に取り組んでもらった方が、結果も良くなるし、本人の学力向上にも有効です。  落ちた時のことは、文字通り「落ちた時に考えれば良い」のです。  パットの名手、プロゴルファーの青木功氏は、必ずオーバーするようにパットを打ちます。届かないパットは、絶対に入らないからです。時には1m以上もオーバーさせることもあります。  ある後輩が「返しのパットのことは考えないのですか?」と尋ねると、「そんなこと、外れた時に考えればいい」と答えたそうです。  この精神は大切です。我々は、とかく失敗した後のことを考えて保険を掛けたくなります。ところが、その保険そのものが成功の確率を大きく損なっていることに気付いていません。  「○○会議」が乱立していることも批判の対象になっています。震災関連だけで20以上の会議が設置されています。「船頭多くして舟山に登る」の典型です。対策にスピード感が感じられない原因になっています。トップの意思が末端まで浸透し、実際の業務に反映されるまでの時間が短い組織が優れた組織です。言葉を変えると、「戦略→戦術→戦闘」に掛かる時間の勝負です。  以前もお話したかもしれませんが、人は「重要度」よりも「緊急度」を優先して行動しがちです。重要なことを決定し、実施することに躊躇します。決断が出来ないのです。何度も言いますが、決断とは「どこにもない答」を作っていくことです。どこかに答があるのでしたら、専門家に判断を委ねることは構いません。しかし、決断を他者に委ねることは出来ません。今の政府は、多くの諮問会議を作り、その決断を委ねている…誤解を恐れずに言えば、責任逃れをしているとしか思えないのです。  目の前の「作業」を忙しくこなしている方が楽です。しかし、本来決断を下す役目のリーダーが「作業」に時間を取られていると、組織は機能不全に陥ります。全てが後手になり、一歩も前に進めません。また、突破口は向こうから勝手にやってくるものではなく、もがきながらも前進する過程で見つかるものです。  今、全国的に震災不況の波が押し寄せています。塾業界も例外ではありません。有事のときこそ、トップのリーダーシップが必要です。そして同時に、現場での対応力です。  社団法人青少年育成協会の常任理事、北田氏より被災地のレポートをいただきました。避難所にロールケーキを700個差し入れたボランティアに対して、「この避難所には800人が生活しているから」という理由で現場担当者が受け取りを拒否したそうです。トップが責任逃れをしていると、現場も「右へ倣(なら)え」になってしまうのでしょう。  今年は、あなたの塾の正念場です。今こそ最高のリーダーシップを発揮してください。

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