この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
五月雨を集めてはやし最上川
有名な芭蕉の句ですが、この「五月雨(さみだれ)」は現在の梅雨のこと。旧暦だと現在の6月は5月(皐月)なんですね。すると、「五月晴れ」も、梅雨の合間の「晴れ」のことだと分かります。ついでに言うと「さみだれ」の「さ」は「さ-くら」「さ-おとめ」と同じく神様のことです。古(いにしえ)の大和人は雨も神の恵み、神の怒り?と考えていたのでしょう。
風薫る5月。日本が一年の内で最も美しい季節を迎えています。みなさんも春期募集が一段落して、ほんの少し息をついた頃でしょうか。今の内に春期の実践を振り返り検証作業をして下さい。
春期の集客は「春」だけの結果ではなく、1年間の総合力が問われています。この春、不調だった塾は、これからの日常活動を考えることです。ほら、民主党党首に就任した小沢一郎氏が常々強調しているではないですか。「若い議員はもっと日常活動に力を入れるべきだ」って。あれは塾にも…いえ、全てのビジネスに共通の真理です。小手先の戦術は大切ですが、やはり王道を太くする日常活動が最も重要であることは言うまでもありません。
「ワクワク系マーケティング」を提唱されている小阪氏が言っていることですが「客をワクワク感動させることで『おひねり』としての利益がもらえる」のです。私も「授業を売るな、感動を売れ!」というテーマでお話をすることがあります。「感動」というと「泣かせること」と捉える人がいますが、あくまでも「感情が動くこと」が感動です。一言で言うと喜怒哀楽すべてを指します。「感動的な授業」と言った場合、塾生も講師もみんなが泣いている…なんて変ですよね。そうして考えると、人それぞれ自分にあった感動の与え方があることに気付きます。
私はサプライズが好きで「どうすれば子供たちが驚くだろう」という視点から実践するタイプでした。これは私のやり方。あなたには「あなたのやり方」があるはずです。アプローチの方法は千差万別ですが、「人に感動を与える」という一点だけは見据えていなければならないテーマだと思います。
こうした1つの方針(コンセプト)に従って行動していると、不思議なことに回りに同類が集まってきます。共鳴者が集うようになります。伸びている塾を訪問すると、スタッフの皆さんが経営者と同じ感性で行動していることに気付きます。しっかりとした、いわゆる「文化」を感じるのです。
私も今の仕事を通して多くの人と出会いますが、自分と同じ感性で生きていると感じられる人に出会うことは無常の悦びです。もう、この一瞬のために仕事をしているようなものです。サプライズ好きにはサプライズ好きが寄ってくるのです。
塾経営も一緒。同じ感性の「同志」「客」が集えば、こんなに楽しいことはない。ワクワクしながら仕事ができる。何よりストレスが溜まらない。(もちろん、別の原因のストレスはあるでしょうが。)
私はどの感性が正しくて、どの感性が間違っているかを言いたいのではありません。経営者の数だけ「感性」が存在し、そのどれをも尊重したいのです。
一口に「成功」と言っても、人それぞれ成功の定義は違います。アメリカ型の利益至上主義に基づく成功もあれば、旧日本型(あえて旧~と言いますが)の共同体主義の成功もある。特に、家族制度の確立している日本では、家内制手工業的な中小企業の形態は、それも1つの成功の姿です。
ですから、塾経営において「経営者」として拡大路線を進むのも、「教育者」として個人塾を極めるのも「どちらも有り」なのです。要は価値観、正義感、感性の違いです。ただ、どの成功を目指すにしても、社会貢献(付加価値)を伴わない利益は本来の意味での成功とは私は認めません。それはギャンブルであり、犯罪であり…社会悪です。真っ当なビジネスモデルならば、社会貢献と利益は比例します。
「利益」と言った場合、どうしてもお金の動きにばかり目が行きがちですが、世の中は等値交換で流通していますので、反対方向に必ず「モノ」や「サービス」が動いています。極論すれば「人」が動いているのです。そこを忘れてしまうと「利益確保のための経費節減」至上主義に陥ってしまいます。いや、無駄な経費は大いに節減すべきですが、往々にして「人を動かす経費」を節減してしまう間違いを犯すことがあります。(この場合の『人』とは従業員と客の両方を指します。)
縦断セミナーで述べていることですが、10倍、20倍のリターンが期待できる投資先は「人」と「情報」です。いかに人のネットワークを広げて(ネットワーク・マーケティング)情報の収集を図るかが重要です。その「人」「情報」に関する経費を一番に削り始める。それは大きな間違いです。
第一、「人」を無視したビジネスなんて楽しいですか?
塾に限らず、どんなビジネスにも「人」にフォーカスすることが成功の鍵です。ややもすると、数字で人を評価し、マネージメントを考えてしまいますが、数字の裏には常に『人の行動』が存在することを忘れないで下さい。文化、風土は数字の積み重ねではなく人の営みが作り上げるものなのです。
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