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  • 執筆者の写真森智勝

新時代のマーケティング論(20) 「和」の思想に染まるな!決断せよ! 2006年11月私塾界掲載分

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

長年の無理が祟ったのか、日頃の不摂生が悪いのか、突然「声」が出なくなり医者から2週間の「無言の行」を命じられてしまいました。声帯が悲鳴を上げたようです。内視鏡を鼻から入れられる不快感には耐えられますが、三度の飯よりしゃべることの好きな私にとって「しゃべるな!」はどんな拷問よりも辛い。最も辛かったのは依頼を受けていた私塾情報センター主催のセミナー講演(大阪)をキャンセルしてしまったことです。もし、読者の中に参加者がいらっしゃるのでしたら、あらためてお詫び申し上げます。

やっと医者の許しが出たのですが、話すことを仕事としている以上、今後も起こり得る「職業病」のようなものだそうです。もっと穏やかに話すことを勧められましたが…それでは私が私でなくなる。このまま続けていると「明石屋さんま」さんのような声になってしまうと脅されましたが、覚悟の上、行けるところまで行くことにします。(もちろん日頃の養生には努めますが。)

さて、今回のテーマは「和」です。

セミナーでも述べたことがありますが、日本は「倭(和)国」です。「和」を具体的に言うと、全会一致、話し合い至上主義の社会です。どの教科書にも載っている聖徳太子の十七条憲法の「一に曰く」には次のようにあります。「和を以って貴しとなし、忤ふること無きを宗とせよ。」有名な一説ですが、実は続きがあります。意訳します。「…しかしながら人々が上も下も和らぎ睦まじく話し合いができるならば、事柄はおのずと道理にかない、何事も成し遂げられないことはない。」

聖徳太子は天皇(三に曰く)よりも仏教(二に曰く)よりも「和」が大切だと説いています。そして、何事も話し合いによれば道理にかない、上手くいくと主張しているのです。あまり知られていませんが、最終条(十七条)でも一条と同様のことを繰り返しています。


「それ事は独(ひと)り断(さだ)むべからず。必ず衆(もろもろ)と論(あげつら)ふべし。」

民主主義が定着したと思われる現代でも、この思想は生きています。「根回し」「談合」等の悪しき?習慣が無くならないのも「和国」ならではです。

つい最近も典型的な新聞記事を見ました。プロ野球界の「正力賞」にWBCジャパンを優勝に導いた王監督が選ばれたというニュースです。


王監督が4度目の正力賞 WBC優勝の功績評価 プロ野球の発展に貢献した選手や監督に贈られる今年の「正力松太郎賞」の選考委員会が7日、東京都内で開かれ、今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表を初代王者に導いた王貞治監督(ソフトバンク)が選ばれた。 王監督はダイエー(現ソフトバンク)の監督として日本一になった2003年以来の選出で、自身が持っていた最多受賞回数を4度目に伸ばした。正力賞には賞金500万円などが贈られる。 川上哲治、稲尾和久、杉下茂、中西太(以上野球解説者)田口雅雄(野球ジャーナリスト)の5氏による選考委員会では王監督のほか、日本ハムを44年ぶりの日本一に導いたトレイ・ヒルマン監督を推す意見も複数あった。しかし「世界一になった功績が一番大きい」(川上座長)という理由により、最終的には満場一致で選出が決まった。

記事の後半にある「…ヒルマン監督を推す意見も複数あった。しかし…最終的には満場一致で選出が決まった。」とあるのは正に典型的です。

この「話し合い至上主義」「全会一致決定システム」が塾の現場ではマイナスに働くことがあります。

例えば教室の責任者が何かの提案をします。全員が賛同すればよいのですが(もっとも全員が賛同するようなアイディアに大きな成果は期待できないのですが…)、賛否が分かれたときが問題です。こうした場合、全会一致決定システムを持つ日本では、往々にして「継続審議」となり、結局フェイドアウトしてしまうことになります。つまり…誰も決断を下せないのです。

企業が発展するためには大きな決断が避けられません。例えば、塾業界を賑わせている「M&A」は売る側も買う側も大きな決断でしょう。ブランドパワーの通用しない新市場に教室を展開するのも決断が必要です。

以前もお話しましたが、「判断」は人に委ねてもかまいません。しかし、「決断」は誰でもない経営者たる「あなた」にしかできない仕事です。その「あなた」が無意識のうちに「話し合い至上主義」「全会一致決定システム」…いわゆる「和」の思想に染まっているとしたら、機を逸してしまうことは避けられません。

重い決断を避けている企業に発展はありません。そして「決断」とは、どこにも存在しない答えを自ら作っていく作業のことです。

塾業界が大変革期を迎えた今、あなたの「決断」が会社の命運を握っています。

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