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  • 執筆者の写真森智勝

新時代のマーケティング論(24) 「評判」を作る人間の感情を知る 2007年3月私塾界掲載分

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


3月、各塾では受験の終盤と新規募集および新学期の準備で最も忙しい時期を迎えていることでしょう。

そうした中、塾を取り巻くニュースがマスコミを賑(にぎ)わせています。

1つは「週刊ポスト」に掲載された「大手進学塾が小学生を『営業マン』に仕立て上げている!」です。秀英予備校が講師の研修用に作成したビデオの中に、生徒に友達を勧誘してくるように促すノウハウを実演形式で収めていることを問題にしています。小見出しは「塾に勧誘の成績グラフを張り出す」「1人紹介すると図書券500円プレゼント」「そして問題のビデオでは生徒たちへの『指導方法』がこと細かに解説されていた」「月に1万5000円稼ぐ生徒も」「内申点まで引き合いに出し…」「他の塾でもやっている」等々、センセーショナルな言葉が踊っています。冠文は「お受験狂想曲の実態はこれだ-衝撃ビデオ入手」です。

いやあ、さすがプロの出版社?上手いものです。こうした暴露記事の常道手段として「元社員」の証言が生々しく記載されています。(私は経験上、元社員なる人の証言は話半分で聞く(読む)ことにしています。)同誌の取材を受けた渡辺社長は映像の存在を認めた上で「教室に獲得グラフを張ったことはない。紹介状の説明時間が長すぎるというクレームがあったことは事実だが、その講師には注意をした。」と説明しています。

塾にとって(いえ、すべてのビジネスにとって)口コミ・紹介は重要です。その営業努力を否定するものではありません。ただし、以前から言っていることですが、子供に紹介を依頼するのは間違っています。なぜなら塾にとって子供は「顧客」ではないからです。塾にとっての顧客は「保護者」です。ですから、紹介依頼は保護者を対象にして行なわなければなりません。子供を対象にすると、今回の記事のように反感を買うことになります。

こうした話題が出ると、全ての塾に影響が出るものです。今は新規募集の時期ということもあり、対応を急いだ方が良いでしょう。

実際に問題のビデオを見たわけでもないので、その是非を論じる資格はありませんが、この記事から学ぶべきことが1つあります。例の「元社員」の存在です。何らかの理由で退職した人物は、よっぽどのことがない場合、その会社の良い評判を広げることはありません。不祥事を起こして辞めた者でも(いえ、そうした人物ならなおのこと)自己弁護のために悪口?を振りまくものです。離職率の高い塾業界においてはやっかいな問題です。新卒入社3年以内に辞めた社員は大学の後輩に悪評を振りまいていると言ってもいいでしょう。 同様の現象は途中退塾生にも見られます。退塾生は、その塾の良い評判を広げることは絶対にありません。

私は口コミと評判を分けて考えています。「口コミ」とはどんな内容でもいいので塾のことを話題にしてもらうこと、評判とは「あそこの塾は成績が上がる」「先生が熱心で子供が前向きに勉強するようになる」等、文字通り塾の評価に関する話をしてもらうことです。そして、口コミは主に現役生およびその保護者が、評判は塾生でなくなった生徒・保護者が広げるという原則があります。良い評判は希望の学校に合格して円満に卒塾した生徒が、悪い評判は途中退塾および講習受講のみで終わった生徒が広げます。

もちろん、対塾率を下げる努力は必要ですが、退塾した生徒に対するアフターフォローの対策もしっかり考えることです。せめて、悪評は広げられないように…。

もう一つのニュースは学研の子会社で学習塾を経営する「学研ジー・アイ・シー」と関連企業の「学伸舎」が、特定商取引法違反(不実告知など)に当たるとして経産省から業務停止命令を受けたものです。社員が電話勧誘で「1対1で個別指導をする」と偽って受講を勧誘、さらに実際にはほとんど使わない教材を約50万円で購入させていたものです。まったく、学研の看板が泣きます。

ここから学ぶことは、理論武装の大切さです。どこの塾でも入塾金や教材費あるいは維持費等の名目で授業料以外の費用を徴収していると思います。その時、例えば「この入塾金2万円は何の費用ですか?」と尋ねられたとき、全ての社員が明確に答えられなければなりません。そんな質問をする保護者は稀ですが、そこにはもう一つ大切な理由があります。

お金を受け取る側の社員の心情です。誰もが理由のはっきりしない料金を請求し、受け取る(実際は振込みでしょうが)ことに「後ろめたさ」を感じるものです。「はい、入塾金は受講開始前の学習カウンセリング、学習計画表の作成および○○君の個別データの処理費用の対価として頂戴しています。」と答える準備が出来ていることで、憂いなく入塾説明ができるというものです。

どうも塾業界に逆風が吹いているようです。「あなた」は塾経営の王道を堂々と歩き、子供たち、地域に貢献することで堂々と利益をあげてください。いつの時代でも正々堂々の姿勢が最も支持されることに変わりはありません。今年度の健闘を期待しています。

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