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  • 執筆者の写真森智勝

新時代のマーケティング論(37) 企業風土はトップである「あなた」が造る 2008年4月私塾界掲載分

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


とある異業種交流会の賀詞交歓会でリコー販社(売上800億)のA社長と出会いました。実は数年前、販売代理店経営者の紹介で一度だけ名刺交換をしたことがあったのですが、そんなことは忘れているにちがいないと思い、再度名刺交換をしました。すると、私の顔と名刺を何度か見た後、「以前、○○社長の仲介でお会いしましたよね?」と言うではありませんか。正直、びっくりしました。数年前、それも喫茶店で数分間お話しただけの私を覚えているとは思いもしませんでした。もしかしたら、この人は年間何百人という名刺交換者の全てを覚えているのでしょうか。

販売代理店経営者によると、A氏が赴任した販社は幹部から末端の社員までモチベーションが上がり、決まって業績がUPするそうです。皆口々に「仕事が厳しいのは当然ですよね。」と言う様になるそうです。その秘訣はどこにあるのでしょうか。

先日、リコー販社のレセプションパーティーに参加しました。そのパーティー会場でA氏の様子を観察させていただいたのですが、氏は身近に10名前後のスタッフを置き、多くの人と歓談をしながら何やら指示を頻繁に出しています。どうやら、パーティー会場で孤立している招待客を見つけると、そこにスタッフを派遣しているようなのです。また、料理の減り具合も気になるらしく、厨房へと走るスタッフの姿もありました。実に気配りができています。多分、この気配りが社員にも向けられているため、モチベーションのUPにつながっているのでしょう。

また、部下の人に聞いたのですが、A氏は注意することと評価することのバランスが素晴らしいそうです。これはアビトレの木下氏に教えていただいたのですが、人に注意をするときは直前に何かを褒めた後に、褒めるときは直前に注意をした後にすると良いそうです。どうやら、A氏はそれを自然に実践しているようです。

以前もお話したことがあるのですが、塾を訪問させていただくとき、その時の対応の違いに驚くことがあります。ある塾は訪問者があるとスタッフ全員が仕事の手を止めて立ち上がり、実に気持ちの良い挨拶をしてくれます。そうかと思えは、こちらから声を掛けても「接客は私の仕事ではない」とばかりにそこにいるスタッフ全員が黙々と事務を続けている塾もありました。正直、保護者が来塾しても同じ対応をしているのかと想像すると、この塾の前途に暗澹としてしまいます。

いわゆる企業風土、文化の問題です。

この春、多くの新人が塾業界の門を叩き、今、まさに研修の最中でしょう。そこでは授業のスキルだけではなく、社会人としてのマナーについても教えていることでしょう。しかし、いくら形式的な研修を行なっているとしても、先輩たちが実践していなければ、つまり、文化として定着していなければ何の意味もありません。新人研修は企業風土や文化をチェックする機会でもあるのです。

塾は言うまでもなくサービス業というカテゴリーに分類されます。もちろん、顧客である保護者からお預かりした生徒の成績を向上させ、志望校に合格させることが第一義的な「仕事」には違いありません。しかし、「教えること」だけが仕事だと考えるとビジネスが成立しないのも事実です。ニーズで成立するビジネスほどウォンツの創造が不可欠なのです。最近よく言われるホスピタリティは正にウォンツの創造に他なりません。そして、それは確固たる企業風土によって支えられます。行き着くところ、経営者である「あなた」の理念・方針が全てを左右すると言っても過言ではないでしょう。社員数が千人以上の大企業でもトップの考え方で企業風土は変わります。ましてや塾という労働集約型の企業ならば尚更です。

では、企業風土を変えるためにはどこから始めれば良いか。私は会議(ミーティング)の方法の見直しをおススメします。塾に限らず、多くの企業(特に中小企業)の会議は「報告会」であり、経営者の独演会になっています。本来の会議とは、会社の中で社員と社員の関係やコミュニケーションが凝縮された場のはずです。お互いの意見をぶつけ合い、そこからより良いアイデアを発想し、新たな行動につなげていく場でなければならないと考えます。しかし今、多くの企業で行われているのは、「誰も積極的に発言をしない」「声の大きな人の意見が通る」「ダラダラと結論が出ない」「決まったことが行動につながらない」「人を責めるだけで何も解決策が出ない」など、時間のムダとしか言いようのない会議が多いのが現状ではないでしょうか。結果、誰もが会議と聞くと憂鬱な気分になってしまいます。そうした雰囲気が全体に蔓延している企業を多く見掛けます。それは塾業界も例外ではないでしょう。

これは経営コンサルタントの宇井克己氏から教わった会議を活性化させる方法ですが、あまりに簡単で驚くような効果があります。誰かが発言している時に、トップである「あなた」が頷(うなづ)くのです。それだけで会議は活性化されます。出席者の誰もがトップの反応を気にしながら発言します。その時、あなたが難しい顔をして首をひねっていたらどうでしょう。誰もが不安になって発言を控えるようになってしまいます。逆に、あなたの「頷き」は参加者に安心感を与えます。安心感は豊かな発想を生み、より多くの意見を引き出します。会議の活性化は企業全体の活性化につながり、明るい風土作りを促進します。ぜひ、お試しを。

そうした風土の上にマナーやスキルは乗っています。実は、単に「立ち上がって挨拶する」「我関せずで仕事を続ける」(それはそれで問題ですが…)の表面的な対応以前に、そこから感じられるエネルギーが人の印象を左右しているのです。あなたの塾は熱く明るいプラスのエネルギーを放出していますか?それは偏(ひとえ)にトップである「あなた」次第です。

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