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  • 執筆者の写真森智勝

新時代のマーケティング論(40) ワン・ツー・ワン・マーケティングのおススメ② 2008年8月私塾界掲載分

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

さて、各塾ではいよいよ夏期講習のシーズンに突入します。すでに多くの外部生が講習に申し込まれていることでしょう。今回のテーマは「外部受講生は100%後期生として獲得しよう」です。

以前からお話していることですが、私は「口コミ」と「評判」を分けて考えるべきだと主張しています。どんなことでもいいから塾の話題を話してもらうことが口コミです。それに対して、文字通り塾の評価に関わる話をしてもらうことが評判です。口コミは主に現役生が、評判は塾生ではなくなった生徒、その保護者が広めてくれます。(ただし、自然発生的な口コミ、評判の広がりを期待してはいけません。塾側が積極的な仕掛けをする必要があります。)

評判には「良い評判」と「悪い評判」があります。良い評判は円満に卒塾し、志望校に合格した卒塾生とその保護者が作ってくれます。それに対して悪い評判は途中退塾生が作っていきます。中には、例えば授業を休みがちで宿題もして来ない。たまに来たかと思えば授業妨害をするので退塾勧告をすることもあります。つまり、生徒本人が原因で退塾に至ることも少なくありません。しかし、そんな生徒でも(いや、そんな生徒だからこそ?)積極的に悪い評判を作り出します。周りの友人に「あんな塾に通っている奴の気が知れない。」くらいのことは言っているかもしれません。ましてや、塾に不満を持って退塾した生徒は尚更です。

ここで注意したいのは、夏期講習だけ受講して後期生として残らなかった生徒も、途中退塾者と同じ心理状態にあるということです。その生徒が初めて塾に通うのか、あるいは他塾に通っていたのかに関わらず、少なくとも「あなたの塾」の夏期講習に申し込んだということは、現状に不満と不安を抱えていることは間違いありません。現状を打開する「何か」を求めて「あなたの塾」の夏期講習を受講するのです。それが後期生として残らなかったのはなぜか!

…期待はずれだったからです。

そうした生徒・保護者は、けっして良い評判は広げてくれません。人に尋ねられれば「う~ん、夏期講習は受講したけれど…ちょっとね。」くらいのことは言うでしょう。

つまり、「とにかく夏期講習を受けてくれたのだから○万円の売上になった」と喜ぶのは間違いなのです。その裏で、数倍の損失を生じているかもしれないのです。今年は多くの外部受講生が集まったと喜んでばかりはいられません。その生徒を一人残らず後期生として獲得する策を早急に練る必要があります。

もちろん、圧倒的な授業を展開して生徒の学力を上げることが第一であることは言うまでもありません。しかし、短期間で全ての生徒の成績を向上させることに無理があるのも事実です。どんなに優秀な教師が優れた教材とカリキュラムで指導したとしても、成果が数字になって現れるのには個人差があります。中には3ヵ月後、1年後に変化が現れる子供もいます。問題は、それまで辛抱強く待ってくれる客ばかりではないということです。

そこで、マーケティング的手法によって、まず、短期間のうちに「この塾を選択して良かった」と実感してもらう必要があります。キーワードは「3日、3週間、目に見える成果」です。

これは、以前、顧客獲得後の「顧客ロイヤリティ」を低下させないための手法としてお話したことがあるのですが、講習生にこそ必要な手法です。

まず、受講が決まった3日以内に「お礼」をすることです。これは葉書でもメールでも構いません。講習の場合、申込みから受講までにある程度の期間が空くものです。その間、何のフォローもしないのはダメです。もし、まだ何のアプローチもしていないのでしたら、今すぐ対応して下さい。

次に、3週間を目処に次のアプローチを掛けます。講習がスタートしていれば、授業の様子を伝え、何か問題点はないかという「御用聞き電話」で結構です。その時のコツは「○○君、頑張っていますよ。」という抽象的な報告ではなく、「今日は方程式の文章題で少し悩んでいたようですが、教師が少しアドバイスをしたところ、コツをつかんだらしく、その後の類題は自力で解けるようになりました。」のように、できる限り具体的に、保護者がありありと授業風景を想像できるような説明をすることです。

まだ講習が始まっていない場合は、関連教材を送るなどして「講習までにこのプリントで予習をしてきて下さい。」のようなアプローチでも構いません。とにかく、「あなたのことを忘れていませんよ。」というメッセージを送る必要があるのです。

最後に、講習によって何か目に見える成果を作り出すことです。例えば受講前に昨年の模擬テストを受験させ、受講後に実施する今年の模擬テストとの比較データを作るのも一つの方法です。小学生ならば、ノートの書き方を徹底指導し、見違えるようなノート作りが出来るようになった…でも構いません。本人、保護者が「夏期講習受講の成果」を実感できるものを提供することです。

とにかく、思いつく全ての対策を実行して外部生100%獲得を目標にして下さい。この夏の成功が今年度の経営力、ひいては来春の募集に大きく影響します。

例年に比べ早い梅雨明けにより、長く暑い夏が予想されます。体調管理を万全にして全力で駆け抜けて下さい…暑い夏をより熱く!

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