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中小塾のためのマーケティング講座106 モチベーションを上げる![2]

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

-人は行動することで意欲を高める生き物だ-

「ふりだしに戻る」からの脱却


何かをやろうとすれば、反対意見が出るのは当然です。反対意見の出ない提案、例えば「命の大切さを教えましょう」「人の痛みを知る人を育てましょう」というのは耳障りはいいのですが、具体性がないので何も実行できません。実行できないので現状を変えられません。結局、「ふりだしにとどまる」だけです。スタート地点から一歩も前進できません。ところが具体的な提案をしても、1つの反対意見があると実行できないのが我々日本人の性質です。日本は和国ですから、全会一致でないと決定できないのです。結果、誰もが反対しない無難な提案に終始し、何も変えられないという悪循環を引き起こします。


これが、個人の中でも生じます。自分の中で堂々巡りを繰り返し、「ふりだしに戻ること」を続けてしまいます。「ふりだし」は安全地帯ですから居心地がいいのです。結局、誰もが変化を恐れます。


「どんな生徒を集めたいのですか?」

⇒「成績優秀者です。成績優秀者は手が掛かりませんから」

⇒「では、入塾テストをして一定のレベル以下の生徒はふるいに掛ける必要がありますね」⇒「そんなことをしたら、今いる生徒の半分は対象外になってしまいます。まずは、今いる生徒の成績を上げることに全力を挙げるだけです」

はい、振り出しに戻りました。


先日、実際にあったメールのやりとりです。

「DMを送ろうと思うのですが、いい文章が書けません。森先生、何か雛形はありませんか?」

⇒「何かの真似をすると失敗します。まずは自分で書いて送ってください。それを私が添削して魅力的な文章に変えます」

⇒「考えれば考えるほど書けません。森先生の手を煩わせるのは申し訳ないので、自力でやってみます」

はい、振り出しに戻りました。


私は、このような「要請」があると、意識的に「反対意見」を提供します。

「わかりました。では、こんな文章でどうでしょう」と、私が代わりにDMを書いてしまった方が相手の「受け」もいいですし、私も楽です。やってみると分かるのですが、他人の文章を直す行為は細かい神経を使いますし、時間も掛かります。でも、そうした互いに辛い行為を積み重ねなければ良いものはできないことを私は知っています。知っている以上、その方法を相手に提案するしか私には選択肢はありません。


あなたも同じですよね。生徒の解けない問題を全て解いてあげる方が楽だということを知っています。しかし同時に、「それでは生徒のためにならないということ」も知っていますよね。だからこそ、時には心を鬼にして突き放したりもするのです。それが子供を変化させる方法だと信じているからです。


ならば、自分を変化させる方法も知っているはずです。自分で苦労して考え、工夫し、ダメ出しをされながらも時間と労力を費やしていく…その行為を経ずに自分を変えることはできません。塾を変えることはできません。強い塾を作るということは、そうしたことの積み重ねをするということです。


新年度直前、毎年のように同じセリフを吐いていませんか?「今年は多くの受験生が抜けるから、5月までに少なくとも○○人の生徒を獲得しなければ経営がヤバイ!」


昔から言っていますが、魔法の杖はどこにもありません。何もせずに○○人を獲得できることはありません。また、そんな状況になることは遠の昔から分かっていました。切羽詰るまで何もしてこなかった自分を認識して、「今、すべきこと」に取り組むことです。3ヵ月後、1年後、10年後のために今、すべきことは何か…その答えはすでに「あなたの中」にあります。あなたは知っているはずです。あとは勇気を出して実行するだけです。


そう、自らのモチベーションを上げる方法はただ一つ、実行することです。人は意欲があるから行動するのではなく、行動することで意欲を増幅させる生き物です。そして実行すれば必ず、何らかの成果を挙げることができます。1つの例を挙げましょう。



あなたが行動すれば周りが変わる


今春、危機的状況に陥った個人塾から相談を受けました。まさに「5月までに○○人獲得できなければ廃業」という状態です。現状を分析し、様々な提案のひとつに「今春、8回のチラシを折り込むこと」を挙げました。その塾はそれまで、片面1色のメニューチラシを挨拶程度に1回折り込んでいるだけでした。依頼者は悲鳴をあげました。「チラシを撒いても反応はありません。それに、そんな費用も捻出できません」と言うのです。私は半ば強引に説き伏せ、チラシは全て弊社の輪転機を使った簡易印刷によって経費を抑えることで承諾を得ました。内容は徹底した保護者の啓蒙に絞りました。


当初、反応はまったくありません。塾長からは、やはり悲鳴が聞こえてきます。

「今朝チラシが入りました。残念ながら今のところ、電話は1件もありません…」 「結局、今日はチラシを折り込んだ当日にも関わらず、電話が1本も鳴りませんでした…。今までと異なり、かなりインパクトのあるチラシでしたので、期待をしていましたが…。やはり、塾の評判がかなり落ちている証拠でしょうか」 「本日、2回目の新聞折り込みチラシが入りました。前回同様、まったく電話がありません…」 「一昨日チラシが折り込まれましたが、相変わらずまったく反応有りません…。正直3回折り込んで無反応…。なかなかモチベーションが上がりません…。これこそじっと耐えしのぐしかないのでしょうか?」 「チラシを3回入れて反応ゼロ。本当に滅入ってしまいます。こんな状況でチラシを入れる意味が有るのかと、自問自答を繰り返しています…。正に『先の見えない暗闇』、暗く沈みがちな毎日です」

塾長の不安と猜疑心が表れています。しかし、私は意識的に無視をして当初の計画通りチラシ作成を続けました。「認知7回の法則」を知っていたからです。すると…。


チラシ4回目以降から問い合わせが入るようになり、7回目を入れた段階で昨年比6倍の入塾者を獲得することができました。保護者からは次のような声が寄せられました。

「これだけ毎週のようにチラシを入れられると、この塾に入れるしかないと思った」 「最初からのチラシを総て見て決めました」 「チラシが入る度に読んでしまいました」 「先生のお考えがよくわかり、本当に納得させられました」

もちろん、チラシだけの効果ではなく、教育セミナー、小冊子発行、紹介制度の充実…様々な相乗効果があったことは否定しません。そうした業務に取り組んだこと、つまり行動したことが塾を変え、地域の反応を得る原動力になったのです。その過程で、塾長のモチベーションが急上昇したことは言うまでもありません。


最初は何かの強制力を使ってでも実行することです。すると、徐々にモチベーションが上昇し、あなた自身が変化を始めます。あなたが変われば、必ず周りが変わります。その時、今まで経験したことのない新しい世界が開けます。


さあ、あなたは何を実行しますか?

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