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執筆者の写真森智勝

中小塾のためのマーケティング講座31 ネットワーク戦略の構築を急げ!

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

これまで本誌上でお話してきた内容を一言で表すと「地域ネットワークを構築しましょう」ということに尽きます。昨年秋の全国私塾情報センター主催「秋季4大都市学習塾経営セミナー」での講演テーマでもあったのですが、もう一度、読者の皆さんとシェアしたいと思います。

ネットワーク・マーケティングの時代

かつて高度経済成長を続けていた売り手市場時代の日本では「マス・マーケティング」が主流でした。大量生産、大量消費を促す「大量広告」と「セールス法」が求められていました。塾業界で言うと、教室を出して「塾生募集」と書いたチラシを地域に配布すれば生徒が集まった時代です。いわゆる体力勝負です。これがバブルの崩壊まで続きます。キーワードは「お客様は神様」です。 その後、長い不況時代に主流となったのが「ワンツーワン・マーケティング」です。企業(店)と顧客が1対1で結びつく手法です。キーワードは「あなただけの」です。不況下では所得格差が広がるので、どうしても「大手」と「ブランド」が強くなります。デパートには高額ブランド商品を売る専門店が増え、一方では100円ショップが隆盛を誇ります。塾業界では「個別(個人)指導塾」が増加しました。「あなただけの」を実現しようとしたとき、これは必須の流れです。集団指導塾でも、個別懇談会を実施していない塾は皆無でしょう。 時代は次のステージへと転換を始めています。一言で言うと「見込み客消滅時代」です。経営の3要素を「人」「金」「モノ」と言いますが、昔は「従業員」を指していた「人」は、現在では「客」のことを表すようになりました。この「人」が市場から消えようとしているのです。以前、テレビの特集で「二十年以上続いた中華料理店が廃業する」ドキュメンタリーを放送していました。味も良く、評判も上々だった店がなぜ廃業に追い込まれてしまったか…。それまで通ってくれていた近隣の企業が次々と撤退して「客」がいなくなってしまったからです。飲食業も塾も「客待ちビジネス」という点では共通しています。地域に「客」がいなくなったら、どんなに腕のいい料理人(塾講師)がいてもビジネスは成り立ちません。(飲食業界ではピザやパーティーセット等のデリバリに進出して新たな成長カーブを生み出しました。塾も同じです。講師のデリバリ…いわゆる「家庭教師派遣業」が伸びてきました。ここには以前も指摘した治安の問題も関わっています。) 止まらぬ少子化の流れは塾市場からの「見込み客減少」を急速に加速させています。以前のように「チラシを撒けばどっと生徒が来る時代」ではなくなってしまったのです。今、新たな戦略を構築しなければ「廃業する中華料理店」と同じ運命を辿(たど)ってしまいます。そこで私が提唱しているのが「ネットワーク・マーケティング」の構築です。キーワードは「友達の友達は皆友達」です。顧客のネットワークを地域に広げて、そのコミュニティーの中から見込み客を作り出す手法です。

口コミ・評判のメカニズム

どうすれば口コミは広がるか。それは「あなた」が友人に「ねえ、あの映画見た?」と話しかける場面を想像すれば分かります。最近「顧客満足度」という言葉がもてはやされ、その向上に各企業とも躍起になっていますが、「満足」のレベルでは人は行動に移しません。経済活動は「売り手」と「買い手」の相互了解による等値交換です。100円の商品を買った消費者は「百円分の満足」は当たり前と考えています。それでは口コミは起こりません。 中小塾の経営者に「あなたの塾の特長は何ですか?」と尋ねると、多くの方が少し考え込んだ後「面倒見がいいことかなあ」と答えます。ほとんどの塾が主張する「面倒見の良さ」が本当に自塾の特長になるでしょうか。私に言わせれば「当塾は面倒見が悪い」と主張する塾を探すことの方が難儀です。また、残念ながら「面倒見が良いこと」「とことん教えること」「解るまで指導すること」は消費者(保護者)には塾として当たり前と思われます。「だって高い授業料を払っているのだから…」といったところでしょうか。 では、どういう時に人は行動(口コミ)に移すか。キーワードは「感動」です。人は「満足では行動に移さないが、それを越える感動体験をすると、今度は人に伝えたくて仕方がなくなる」というメカニズムを持っています。それが「ねえ、あの映画見た?」と切り出す人の心理状態です。これからは如何に感動を作り出し、それを伝えていくかが重要なのです。 感動を作り出す源は「技術」と「本気」です。小学生の学芸会に感動して泣くことはありませんが、「冬のソナタ」を見て多くの人が涙します。その最も大きな違いは「役者の演技力」です。塾においても教務力は言うまでもなく、マネージメント力やマーケティング力等、技術の向上は必須事項です。そしてもう1つは「本気」であること。もし、中学1年生の女の子が「将来、浜崎あゆみのようなアーティストになるの」と言っても周りの大人は笑っておしまいでしょう。ところが、その女の子が「月曜日と木曜日は歌のレッスン、火曜日と金曜日はダンス教室、水曜日と土曜日はお芝居の稽古。毎日3km走って、河原で発声練習をしている…」となればどうでしょう。誰もが「頑張れよ。応援するからな。」となるに違いありません。「本気」は人を感動させる大切なファクターです。塾が本気で技術の向上に努める姿を示すこと、それが口コミ・評判を作る根本原則です。

相手の立場に立った想像力

今年の秋、ある塾の社員研修を依頼され、とある地方都市へと出掛けました。前日入りをして塾長さんと食事を共にしたのですが、その中でプライベートの話になり「女房殿とは一緒にコンサートに行くことがあり、12月も南こうせつ(若い皆さんはご存知か?)のコンサートへ行くんですよ」と、何気なくお話しをしたのです。夜の11時過ぎに別れ、翌朝10時に塾長さんが自分の車で迎えに来てくれたのですが、そのドアを開けてビックリ。「南こうせつ」の歌が流れているではありませんか。驚いている私に「今日は森先生バージョンでお迎えに来ました」と、冗談ぽく話すのですが…。 スタッフの方に聞いたところ、前日の夜11時半ごろ「誰か南こうせつのCDを持っていないか」と塾長から連絡が入ったそうです。いったい、どれだけの時間を費やしてCDを入手したのか定かではありませんが、ホテルから教室までのわずか5分、いえ、私が車のドアを開ける一瞬のために「夜中じゅうCDを求めて走り回っている塾長の姿」が想像されます。正直、感動しました。この塾が伸び続けている秘訣を垣間見た思いです。 一方、同時にこんなことがありました。その日の料亭で食べ切れなかった「えび芋ごはん」(これは絶品でした)を「お夜食にどうぞ」と言われ、タッパーに詰めてもらいホテルに持って帰りました。夜中に食べようと袋を開けたところ…箸が入っていなかったのです。箸がなければ「ごはん」は食べられません。その時の会話で、この食事会が「接待」であり、えび芋ごはんを持って帰る「私」が地元の人間でないことは想像できたはずです。わずか数円の「割り箸」の有無で全ての印象がご破算になってしまう…。もったいないことです。 結局、いかに「相手の立場に立った想像力を持てるか」なのでしょう。感動を作る核心は前述の「技術」と「本気」です。しかし、その背景に流れている「相手の立場に立つ姿勢」を忘れてしまっては「本気」が「独りよがり」になってしまいます。相手の立場に立った想像力。塾の現場でも相手(塾生・保護者)の立場に立って物事を見たり考えたりしているか。ぜひ、今一度振り返ってください。人は「満足」の状態では行動に移りません。ところが満足を越えた「感動」を得たとき、今度は「人に話さずにはいられない」というメカニズムを持つのは事実です。今の私がそれを証明しています。 大切なことは感動を創造する機会と、それを伝える仕組みを「目に見える形」で構築することです。けっして「塾生に感動を与える授業をしよう」というスローガンで終わってはいけません。2割の戦術がなければ8割の戦略も水の泡になってしまうことは以前お伝えした通りです。 感動も口コミも自然発生するものではなく、塾(あなた)が意図して作り上げるものです。具体的な戦術に関しては次号で具体例を挙げてお話します。

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