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執筆者の写真森智勝

中小塾のためのマーケティング講座40 コミュニケーション能力を磨け②

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


コミュニケーションを形に表すということ

先月に続きコミュニケーションについてお話します。「コミュニケーションが大切だ」と言うと、どの塾も「そんなことは分かっている。常に心がけている。」という反応が返ってきます。しかし、ややもすると塾側の思い込みで終わっていることがあります。 先日、セミナーで「塾生が帰るときは室外まで見送りに行きましょう。」と提案すると、ある先生から次のような感想文が寄せられました。

「私は今まで学校で教師をしていました。塾も学校も教える仕事という点では共通なので、学問に対する専門的な知識と教える技術さえあれば大丈夫だと思っていました。しかし、いざ塾を始めてみると生徒がなかなか集まらず苦労しています。(中略)塾生を外まで見送るという基本的なことすらできていないことが分かりました。セミナーを受講させていただき目からウロコが落ちる思いです。(後略)」

これまで学校の教師をしていたこの先生は、塾と学校を「同じ仕事」だと勘違いしていたことを正直に告白してくれています。中小塾の先生は多かれ少なかれ同じ「勘違い」をしています。塾はサービス業です。学校の先生ならば集客の努力をしなくても生徒は目の前にいます。しかし、塾は違います。そして塾生がいなければ、せっかくの「学問に対する専門的な知識も教える技術」も宝の持ち腐れになってしまいます。そこに思いが届けば、一般的に言われるコミュニケーションと塾でのコミュニケーションが違うことが理解できると思います。先月お話した「ビジネスにおけるコミュニケーションとは相手に思いを伝え、行動してもらうこと」の意味が理解できると思います。 「コミュニケーション」における、よくある間違いは「スローガン」に終わってしまうことです。「コミュニケーションを重要視しましょう」と言うと、「子供たちに声がけを積極的に行おう」と考える方が多くなります。それは良いのですが、単なるスローガンのままでは3日も経てば元の状態に戻ってしまいます。また、それでは客(塾生・保護者)に対して「塾がコミュニケーションを重要視していること」が伝わりません。伝わらなければ「塾が希望するような行動」に移してくれるはずもありません。重要なことは「形」に表すことです。 これまでも「形に表すこと」の大切さをお話してきましたが、コミュニケーションにおいても同じです。冒頭の「帰りの挨拶」にしてもそうです。多くの講師が教室内で挨拶を済ませ、さっさと事務所に引きこもってしまいます。たぶん、屋外にはお迎えの保護者が来ているはずです。ほんの数分を割いて外まで見送りに出ることによって塾の姿勢は伝わります。それが「形に表す」ということです。他にもいくつか例を挙げてみます。 どの塾でもテスト前は「テレビを見るのをやめよう」と指導しているはずです。「テスト期間くらいはテレビやゲームを我慢して勉強に集中しようよ」と。それならば、例えば「テレビを見ない宣言書」を作って塾生に署名してもらうのはどうでしょう。「私はテスト期間、テレビ、ゲーム、漫画を我慢して勉強に集中することを誓います」という文面に本人・保護者の署名を書いてもらうのです。そうすることで「この塾はテスト前にこんな指導をしているのだ」と初めて保護者に伝わります。その上で塾長をはじめ講師一同も同じ宣言書に署名して掲示板にズラッと並べましょう。「塾生に辛いことを強いるのだから、我々講師も一体となってテストに取り組みます」という姿勢を「形」にして表すわけです。そうすれば、教室見学や入塾面談に来た方にいちいち説明をしなくても塾の指導内容が伝わります。 どの塾でも居残り学習を実施しているはずです。それならば「居残り許可書」を作ることです。また、テスト前の日曜日等にテスト対策授業を実施していない塾はないと思います。ならば、口頭や掲示板だけで告知するのではなく、文章で案内を配り「参加申込書」を提出させることです。こうした1つ1つの「形」を面倒と思わずに作っていくことで塾の思いは相手に伝わります。 そして、入塾書類や特別講習の案内もコミュニケーションの重要な「形」です。中にはA4の紙一枚で済ませている塾もあります。「入塾案内を見せてください」と言うと、チラシを持ってきて「これで説明しています」という塾さえあります。これでは、どれほど熱心な授業をしていたとしても相手には伝わりません。

熱意を伝えて行動に移してもらう

熱意が伝わればどんな現象が起こるか。夏期講習に関して会員さんから次のような報告が寄せられました。

森先生には感謝のご報告をと思い、メールさせて頂きました。 今年の「サマープログラム2006」については、高価格帯で勝負してみたのですが、今年は大成功です。 今年のパンフレットは相当気合を入れて作りました。5月下旬に一旦出来上がったのですが、もう1度先生がいつもおっしゃっておられることや、北の大地の市場先生の資料などを再度じっくりと見させてもらって、色々ああでもないこうでもないと専任講師と二人で毎日のように修正をかけて、ほとんど全く別のものに仕上がるくらいに変更し、満を持して保護者にぶつけました。 締切までの間に教育相談会をはさみ、三者面談を実施して、一人一人に訴えていきましたところ、保護者の方が通勤途上にどれを申し込んだら良いかと相談に来たり、何度も読んで頂いた方がいました。 またチラシも3月2回、4月1回、6月1回打っただけ(しかもリソグラフでの簡易チラシです)なのですが、問い合わせは3月から50件を超えております。(そのうち25名が塾に、5名ほどが個別指導に、5名ほどが家庭教師にという感じです。残りは見込み客で残っている人も多いです。また私から断った客も何名かありました。) それだけでも十分嬉しかったのですが、本日現在までで、サマープログラムが サマーゼミ(夏期講習)  31名(小4~高3) サマースクール(勉強合宿)20名(小5~高3) と、塾だけの人数は35名強くらいしかおりません(あとはすべて家庭教師)ので、相当な申込率です。しかも価格帯は一番最低が小4で34,560円(ゼミだけ)で、高校生のゼミは63,000円です。さらに勉強合宿までセットにした「セレクトコース」をゼミ参加者の3分の2が選択してくれるという驚きの結果でした。セレクトコースは小学生や中1・2で80,000円前後、中3は102,000~136,000円です。特に今年の特徴は中3生ではなく、中2生の参加が多く、毎年とは異なった傾向です。 これも本当に森先生に出会ってから、色々な情報を教えて頂いたおかげです。また、全国の塾長先生方が懸命に努力されている姿を拝見し、遅まきながら「自分も頑張らなくては」と発奮しました。 このサマープログラムには、全神経を傾けて、「行って良かった」「行かせてよかった」と思ってもらわなければならない責任ができたと考えています。本当に有難うございました。 やはり動いて動いて動きまくるしかないというのがよくわかりました。まだまだ5年目ですので、わからないこともたくさんありますが、これからも宜しくお願い申し上げます。

いかがでしょう。「意欲」を「形」にして表すことで相手が動く様(さま)が目に浮かびませんか。「5月下旬に一旦出来上がったのですが、もう1度先生がいつもおっしゃっておられることや、北の大地の市場先生の資料などを再度じっくりと見させてもらって、色々ああでもないこうでもないと専任講師と二人で毎日のように修正をかけて、ほとんど全く別のものに仕上がるくらいに変更し…」と推敲に推敲を重ねた努力(熱意)が相手を動かすパワーになったのです。けっして10分で書いた紙1枚で10万円の商品(講習)は売れません。 さあ、来春に向けて一つ一つを「形」にしていく作業に取り掛かってください。その過程で塾の力量がアップしていくのです。「このサマープログラムには、全神経を傾けて、『行って良かった』『行かせてよかった』と思ってもらわなければならない責任ができたと考えています。」という一文が如実にそれを物語っています。

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