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執筆者の写真森智勝

中小・個人塾のマーケティング論[9]電話対応は顧客とのファースト・コンタクト

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


チラシで興味を持ち、ホームページで疑似体験をした保護者(母親)から、ついに問い合わせの電話が掛かってきます。ここが顧客と塾とのファーストコンタクトであり、最も重要な場面です。


具体的な話をする前に、1つ重要なことを指摘します。保護者が電話を掛けても、留守にしている塾があります。専業主婦が朝の家事を終え、少し余裕をもって新聞広告に目を通すのは10時前後です。そこで気になった塾を見つけ、電話をしても留守です。なぜか。多くの中小・個人塾は午後から始業するところが多いからです。塾は基本、夜間を中心に活動する業態です。そのため、午後1時から10時までを就業時間としているところが一般的です。それを当たり前と思っています。しかし、世間の常識は違います。一般企業は9時から動いていますし、デパートも10時から開店します。電話をしても呼び出し音が鳴り続ける塾に、再度電話をする保護者はいません。働いている主婦が塾に電話を掛けるのは夜です。ところがここでも電話に出ない塾があります。「授業中は指導に集中するため、電話に出ない」あるいは「気付かない」塾が多いのです。


長くこの世界に身を置いていると、それが当たり前のようになってしまいます。しかし塾業界で当たり前のことでも、世間の常識とはズレていることが多いのです。今回のテーマとは外れますが、塾のイベント(たとえば保護者会)の受付で塾のスタッフが椅子に座り、保護者(顧客)が立ったまま手続きをしている場面を見ることがあります。一般的な企業マナーからは考えられないことです。残念ですが、中小・個人塾においてしばしば見られる光景です。


それぞれの塾に事情があるのは重々承知です。しかし電話を転送するとか、せめて受付時間を分かりやすく明記するとかの配慮は必要です。

本題に戻します。あなたの塾は、こんな電話対応をしていないでしょうか。


 母親「ちょっとお尋ねしたいのですが…」   塾「はい、何でもお尋ねください」  母親「…中学2年生なのですが、時間割はどうなっていますか?」   塾「えっと、火曜日と金曜日の午後7時から9時半です」  母親「そうですか…授業料は?」   塾「月額で2万円です」  母親「…わかりました。また子どもと相談してお電話します」   塾「はい、いつでもお電話お待ちしています」

きっと、この母親は二度と電話を掛けて来ないでしょう。なぜなら、母親の知りたいことに答えていないからです。「えっ、質問には明確に答えているけれど…」と思われるかもしれません。しかし、母親が知りたいことは時間割でも授業料でもありません。そもそも母親はチラシやホームページを見て電話を掛けています。時間割や授業料は知っているのです。


塾に電話を掛けてくる母親の胸中を想像してください。子どもの勉強について何らかの問題や悩みを抱えているから塾に電話を掛けて来ます。しかし、電話の向こうの初めて話す見ず知らずの他人に、最初から子どもの悩みを打ち明けるほど明け透けな人は少ないものです。ですから、「時間割」や「授業料」といった当たり障りのない話題から始めているのです。その思いを汲み取って対応しなければ、期待外れと思われるだけです。「この塾は私(我が子)の問題を解決してくれそうもない」と。


ではどうすればいいか-簡単な話です。聞いてあげればいいのです。聞かれたことには答えて…


 塾「授業料は2万円です。ところで現在中学2年生ということですが、部活は何をされていますか?」 母親「サッカー部です」  塾「ああ、それならば何人か当塾に通ってくれている生徒がいますよ」 母親「はい、息子も友達から塾のことは少し聞いているみたいです」  塾「現在、どこか塾には通われていますか?」 母親「はい、近くの集団塾に通っているのですが、あまり成績が上がらなくて…」  塾「それはお母さんとしては心配ですね」 母親「はい、そうなんですが、本人はどうやって勉強すればいいか解らないみたいで…」  塾「それならば一度、ご本人さんと教室にいらっしゃいませんか? 私でよろしければ勉強の方法についてアドバイスしますよ。もしかしたら塾を替わらなくても済むかもしれませんし…」 母親「お願いできますか?」  塾「はい、遠慮なく。それでは息子さんの名前を教えていただけますか?」

こうして会話をつなげることで相手の悩み-成績が上がらない、勉強方法が分からない-を聞き出すことができます。


以前、入塾までの階段設定を説明しました。各ステージには次のステージへと歩みを進ませる仕掛けが必要だと。電話対応の目的は、次のステージである「来塾を促すこと」です。そのためには電話での会話、キャッチボールを通して、「この人(塾)なら問題を解決してくれるかもしれない」という小さな期待を持ってもらうことが必須です。


そう、電話を掛けてきた母親が本当に知りたいのは、「この塾が悩みを解決してくれるかどうか」なのです。

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