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執筆者の写真森智勝

中小・個人塾のマーケティング論[10]電話対応では顧客との小さな信頼関係を構築すること

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


前回、「電話対応は小さな期待感を持たせ、来塾を促すことが目的」とお話しました。そして、「見ず知らずの人に悩みを打ち明けられる人はいない」とも。そう考えると、相手の個人情報を聞くタイミングも自ずと決まってきます。相手(母親)とある程度打ち解け、小さな信頼感を持たせた時です。


もちろん、塾にとって個人情報を収集することは重要です。しかし、いきなり個人情報を聞いたのでは逆効果です。

母親「すみません。塾のことでお尋ねしたいのですが…」  塾「それでは、お子さんのお名前と学年をお教えください」 母親「いえ、子どもにはまだ、塾のことは話していないので…」

こんな感じでやんわりと拒否されることが増えてきます。この時点で既に塾に対する拒否感が芽生えていると思って間違いないでしょう。


私自身が息子のことで怒り心頭したことがあります。息子は塾に通うことなく中3の夏休みを迎えました。夏期講習くらいは受けさせたいと思い、近くに開校した某大手塾に電話したのです。事務を担当する若い女性が対応してくれました。

私「夏期講習のことでお尋ねしたいのですが」 塾「では、お子様のお名前と学年をお教えください」 私「名前は森俊也、中学3年生です」 塾「ご自宅の住所と電話番号をお願いします」 私「名古屋市中村区…052-452の…」 塾「ところで俊也君の通知表評価は?」 私「2年の学年末で9科合計19です」 塾「それだと、当塾の入塾基準に…」 私「あっ、夏期講習にも入塾基準があるのですね。うちの息子はダメですね」 塾「はい、申し訳ないのですが…」

当時、私も塾経営をしていましたので事情はスグに呑み込めました。この女性職員は何も悪くありません。社のマニュアル通りに進めただけです。その点は理解できます。しかし…


親としては「怒髪冠を衝く」状態です。息子の名前も住所も晒した上で、「お前の息子はバカだから入れたらん!」と言われたわけです。これで怒らない親はいません。

前回の見本会話を見てください。


  塾「それならば一度、ご本人さんと教室にいらっしゃいませんか? 私でよろしければ勉強の方法についてアドバイスしますよ。もしかしたら塾を替わらなくても済むかもしれませんし…」 母親「お願いできますか?」  塾「はい、遠慮なく。それでは息子さんの名前を教えていただけますか?」

この程度の信頼関係を構築した上で、名前等の個人情報を聞き出すべきです。相手の警戒心を和らげてからです。


もう一つ重要なことは、母親に対する共鳴・共感を伝えることです。何度も言いますが、母親は(大きいか小さいかは別にして)何らかの問題・悩みを抱えて電話をしています。そこに寄り添ってあげることです。


母親「はい、近くの集団塾に通っているのですが、あまり成績が上がらなくて…」   塾「それはお母さんとしては心配ですね」 母親「はい、そうなんですが、本人はどうやって勉強すればいいか解らないみたいで…」

この部分の「それはお母さんとしては心配ですね」の一言が重要です。「あっ、この人は私の思いを理解してくれる」と、母親が胸襟を開く瞬間です。世の母親は大きなストレスを抱えて生活しています。自分はこんなに心配しているのに子どもは解ってくれない。夫もどこか他人事。自分だけが躍起になっているみたいで馬鹿みたい…そこに理解者が登場すれば、一抹の光明を見つけたように思います。


そこまで信頼関係を結ぶことに成功すれば、生徒の個人情報をはじめ、兄弟姉妹の有無や両親の仕事、友人関係の様子等を聞き出すことは難しくありません。そして、来塾する日時を確定するだけです。


念のために確認しますが、この来塾は「入塾のため」ではなく「学習アドバイスをするため」という建前が重要です。入塾のためならば、来塾を拒否する子ども(生徒)を親が説得するのは難しい。しかし、学習アドバイスのためならば、母親としても子どもを説得する大義名分になります。

もちろん、最初から入塾を決断して電話問合せをしてきた保護者に対しては、回りくどい方法を用いる必要がないのは言うまでもないことです。

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