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執筆者の写真森智勝

中小・個人塾のマーケティング論[12]面談で売るのは「商品(授業)」ではなく「人」

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


入塾面談の方法は通常、相手(生徒&保護者)の「入塾する意思が固まっているかいないか」で2つに分かれます。入塾の意思が固まっている場合は、粛々と手続きを進めても構いません。それでも入塾は確定できます。しかし、それだけで済ませるのはもったいないことです。


面談は塾&あなた(塾長・教室長)を売り込む最大のチャンスです。例えば過去の紹介入塾のケースを思い返してください。何年も塾に通って自塾の良さを熟知した生徒&保護者からの紹介もあるでしょうが、入塾したばかりの生徒から紹介を得られた事例が多くあるはずです。それには理由があります。


人が商品の購買を決断するのは、その瞬間が最も商品に対するロイヤリティ(親和感・信頼感)が高くなったからです。「いい塾に出逢った」「いい先生に巡り合えた」…そうした思いが紹介という行動を促します。また同時に、専門用語でバイヤーズリモース(購入後の後悔)と言うのですが、購入直後から後悔が始まります。高額商品になればなるほどその傾向は顕著です。


例えば悩みに悩んで車を購入したとします。契約が済み、後は納車を待つだけです。そんな時、街で素敵な車を見掛けます。あなたはきっと思うはずです-あの車の方が良かったかもしれない。これがバイヤーズリモースです。素敵な車を見掛けなくても、「本当に良かったのだろうか」という思いは少なからず生じるものです。その不安や疑問を打ち消すために、人は周りの人に吹聴します。「俺、〇〇という車を購入したんだ」と。そして、「良い車、選択したね」「いやあ、羨ましい」という共鳴・共感を得て、不安を打ち消そうとします。


つまり、商品購入(入塾)直後は高いロイヤリティと不安が生じ、最も口コミ行動をしやすい環境にあるのです。それが(言葉は悪いですが)芋づる式に生徒が入塾するメカニズムです。バイヤーズリモースの対処法は別項で詳しく説明しますが、入塾を迷っている人に対してはもちろん、入塾を決断して来塾した人に対しても、「ああ、やっぱりこの塾に決めて良かった」と思わせる面談が必要なのです。


高校生は別にして、小中学生の保護者が塾に対する興味・不安の一番は、「どんな指導をしてくれるか」ではなく、「どんな人が指導をしてくれるか」です。大切な我が子を預けるのですから当然です。料理の味は実際に食べてみなければ分からないように、「どんな指導」は実際の指導を受けてみなければ分かりません。入塾面談は、指導内容の信頼性を強調するよりも、「あなた」の信頼性を訴える場なのです。それが伝わった時、「良い塾に出逢った」「良い先生に巡り合えた」…口コミ・紹介のサイクルが回り始めます。


面談の中身については、塾長・教室長の性格・人柄によって変わりますので、具体的に説明するのは難しいのですが、共通して言えることは「信念(理念)」「情熱」「方針」がしっかりと伝わることが重要です。子どもの指導者として(保護者が)理想とする人物であることを示すのです。


例えばこんな話はいかがでしょう。


家での勉強中は携帯(スマホ)を親に預けてください。勉強中にメールやラインが入ると、集中できません。そして、友人には「勉強中はスグに返信できないから、ゴメンね」と伝えておきましょう。もし、それで「付き合いが悪い」と怒るような人は、友人ではありません。少なくとも君を友としてではなく、便利な玩具かゲームとして見ています。ゲームならば遊びたいときに遊べなければ嫌だよね。君が勉強に本気だと知った時、「そうか、頑張れ。俺も頑張らなくっちゃ」と言える人が本当の友人だよね。

単に指導法やカリキュラムの説明だけでなく、こうした話を交えることで「あなたの人となり」をアピールすることです。繰り返しますが、ここで売るべきは「商品」ではなく「人」です。


こうして面談を終えた後、ほとんどの塾が「体験期間」を設けていると思います。次回は体験制度についてお話します。

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