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執筆者の写真森智勝

中小・個人塾のマーケティング論[13]体験期間は2週間以上がお勧め

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


ほとんどの塾が体験制度を設けていると思いますが、その期間は塾によってまちまちです。1回だけの塾もあれば、1か月という長期を設定している塾もあります。適正な期間(回数)が決まっているわけではありませんが、私は2週間を推奨しています。


体験が1~2回の場合、体験終了後に塾から入塾確認(クロージング)の連絡を入れるのが通例です。セールストークが上手な塾長(教室長)ならいいのですが、塾人の多くはセールスが苦手です。


塾長「体験を終えられましたが、いかがですか? ぜひ、入塾をお願いしたいのですが」 母親「まだ息子と相談していませんので、相談後に御連絡します」

こんな会話で後が続かず、結局、連絡が入らないという事例は枚挙に暇がありません。1つは前述したように、塾人が「売り込みが苦手」ということですが、実は相手(保護者)も売り込まれるのが苦手なのです。あなたも何気に立ち寄った紳士服店で、販売員がつつっと近寄ってきて「何をお探しですか?」「色は?」「これなどは最近の流行りでよく売れていますが、一度試着してみませんか?」と売り込まれ、面倒になって早々に店を出た経験があるのではないでしょうか。


まだ方向性が固まっていない時に、「入塾するのか、しないのか」と突き付けられたら、人は誰でもペンディング、先送りを選択します。そして先送りにした人の多くは、二度と戻ってきません。一度先送りにしておきながら、こちらから入塾をお願いすることに躊躇する心理が働くのです。


体験期間を2週間にすることで、様々な利点があります。2週間も塾に通えば、通うことに慣れ、塾(教室)の雰囲気にも慣れます。塾教師や他の塾生にも慣れます。人は慣れた環境からは離れにくい性質を持っています。あなたも通いなれた喫茶店、居酒屋、理髪店…そうした店を安易に変えることはないでしょう。


最大の利点は、体験終了後ではなく体験前にクロージングができることです。体験前の面談で次のように説明しておくことです。


「塾の内容をしっかりと理解してもらうには1回や2回の体験では足りません。当塾では2週間の体験期間を設けています。その間、他塾生と同じように指導します。宿題も出しますし、必要ならば居残り学習もしてもらいます。普段通りの指導をさせてもらいます。そうして、塾の内容を把握した上で入塾を決断されたら、3週間目にこの『入塾申込書』を持参してください。A君の席はそのまま確保しておきます。そして万が一、この塾は合わないと思われたなら、遠慮なくキャンセルのお電話をください。電話1本で構いません」


ダイレクト・レスポンス・マーケティングと言うのですが、こちらからセールスの電話を入れるのではなく、相手からキャンセルの電話を入れてもらう仕組みにするのです。1回や2回の体験では難しいですね。


また、2週間の体験期間を設けることで、いわゆる関連販売(ハンバーグを注文すると「ポテトもいかがですか?」と勧めるセールス)も容易になります。特に個別指導塾にはお勧めです。個別指導塾の場合、英語と数学で週2回(中学生の場合)という受講が大半です。例えば理科の成績も芳しくない生徒に、理科も受講してもらいたいと思っても、(繰り返しますが)セールスの苦手な塾人にとって、受講教科(コマ数)を増やすように生徒&保護者を説得するのは至難です。


そこで、2週間の体験期間を利用します。


「A君の場合、英語と数学だけではなく、理科も心配ですよね。どうでしょう、テストも近いことですし、理科も体験受講されてみては。どうせ無料ですし、少しでもテスト対策になりますよ。また、理科の学習方法くらいは2週間あれば伝授できます。それでどうしても時間的負担が大きいようでしたら、正式入塾の時に削っていただければ構いませんので」

こうしたアプローチをすれば、体験だけでも3教科を受けてもらえる確率は高いものです。それで2週間、3教科の受講に慣れれば、そのまま正式受講してもらえる確率も高くなります。特に、直後のテストで良い結果を出させることができれば尚更です。少なくとも、後から追加受講をお勧めするよりはハードルが随分と低くなります。


もちろん個別指導の場合、体験期間にも人件費等が発生しますので利益計算は必要ですが、体験上、2週間の体験期間を設けることは、充分な費用対効果が見込めると考えています。

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