この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
9月を迎え、各塾は後期に突入しました。夏期講習の余韻も冷めやらぬ時期ですが、ここからの頑張りが来春の集客を大きく左右します。なぜなら、口コミは瞬時に作ることができますが、評判を作るには最低でも3ヶ月掛かるからです。
以前からお話しているように、口コミと評判は別物です。口コミとはどんなことでもいいので塾のことを話題にしてもらうことです。評判は文字通り「塾の評価」に関する噂話のことです。ここを明確に分けて考えないと、塾として打つべき手段が思い浮かびません。
以前、ある塾経営者から次のような質問を受けました。
「どうしても9月に退塾する生徒が多いのですが、何か対策はありませんか。」
対応策は簡単です。10月に大きなイベントを企画し、8月~9月にかけて大々的に告知をして盛り上げれば9月の退塾は防げます。運動会でもボーリング大会でも構いません。子どもたちがワクワクするようなイベントを10月に用意しておくことです。
もともと、顧客離れの原因は3つと言われています。「卒業」「忘れる」「飽きる」です。
「卒業」は塾にとって宿命です。他にも医者、エステ、弁護士などは「卒業」という宿命を抱えています。
「忘れる」は一見客に最も顕著な現象です。あなたも、誰かに連れて行ってもらったクラブのほとんどを忘れているはずです。当然、店側としては忘れられないために、もらった名刺を頼りにせっせと礼状を書き、イベント情報等をDMします。塾も、見学客や体験学習者に対しては忘れられない工夫が必要です。そうした「客」は平均して3つの塾を検討対象としています。忘れられた塾が選ばれることはありません。
「飽きる」は、注意をしていないと塾にとっては日常的に存在する危険要素です。塾の「客」は全てが常連客です。常連客は安定的な顧客ではあるのですが、反面、店(塾)に対して飽きる危険性を常に持っています。そして、何かをきっかけとして離れていきます。「前期が終了した」「夏期講習が終わった」「期末テストが終了した」等の区切りで退塾・転塾を考えます。9月は前期の終了直後であり、夏期講習の終了直後でもあります。常連客はいつも店(塾)離れを考えているのではなく、こうした区切りを迎えることで日常行動を見直すことになります。あなたが、正月を迎えるたびに「禁酒」「禁煙」を宣言するのと同じです。
前述の10月イベントは、そうした「きっかけ」を忘れさせる効果があります。また、口コミを発生させる大きな効果もあります。イベントをオープンにすることによって他塾生の参加も促せば、地域での認知度向上、また、自塾に対するハードルを下げることができるでしょう。
イベントは退塾を防止し、口コミを発生させる効果は大きいのですが、それはけっして評判を上げる手段ではありません。また、先月号でもお話しましたが、セカンド・インパクトを用意しておかなければ、悪い評判を急速に流布する結果となってしまいます。
ややもすると、こうしたイベントの成否を参加者数で測る傾向があります。
「いやあ、本当に多くの参加者だったね。大成功だ。」
「予定を下回る参加者数だった。今回のイベントは失敗だった。」
もちろん、多くの参加者を求めることは重要ですが、それで即、成功と判断するのは早計です。もし、100人が参加したそのイベント自体がつまらないものだったとしたら、悪い評判が100倍速く拡がると覚悟してください。良い評判を作るのは3ヶ月かかりますが、悪い評判は瞬時に作られるものです。ここでも期待値を上回る「感動」を提供することは必須です。
評判を作るのに早くても3ヶ月かかるのには理由があります。人の能力サイクルがそうなっているからです。例えば、今日100メートルを10本走ったからといって、明日、記録が伸びることはありません。腕立て伏せ100回で急に筋肉モリモリなどということもありません。その訓練を続けて早い人で3ヶ月、遅い人で3年後に効果が現れます。勉強でも同じですね。
「早くて3ヶ月、遅いと3年」
ビジネスでもこの法則は生きています。評価に値する最高の授業を続けても、「評判」として現れるのは早くても3ヵ月後です。それは塾生の学習結果と併走する形で表面化します。
たったの3ヶ月です。あなたが変わり、塾が変われば、3ヵ月後にはその変化が地域に浸透します。今から行動に移せば、充分に来春の募集期に間に合います。
以前、あるクライアントからクレームが来ました。
「森のアドバイス通りにチラシを作って2月に折り込んだのだが、1件の電話も掛かってこなかった。期待はずれだった。」
自分の能力不足を棚に上げて言うのですが、2月という募集期に、どんなチラシであれ1件の電話もないということは「チラシ以前の問題」です。1枚のチラシで口コミは作れますが、評判を作ることはできません。
さあ、来春に向けた評判作りに取り掛かってください。勝負は既に始まっています。
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