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中小塾のためのマーケティング講座85 理論武装は塾経営に必須の要素/価格戦略を安易に考えない!

執筆者の写真: 森智勝
森智勝
2024年8月25日
読了時間: 5分

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

2010年9月私塾界掲載分

理論武装は塾経営に必須の要素

中小塾のマーケティング講座83号で「中3のカリキュラムを5月まで延長することで、高校部への継続率八十パーセントを達成した塾」のお話をしました。ところが、同じ手法を採っても失敗する塾があります。

ある塾さんから次のような報告がありました。

「中学3年生のカリキュラムを5月まで延ばすことで、ほとんどの生徒が5月まで受講してくれたのですが、6月以降も残ってくれたのは3分の1でした。」

まあ、3分の1でも以前に比べれば優秀なのでしょうが、私としては「?」です。ちゃんとやれば、もっと高い継続率になったはずです。そこで、尋ねました。

「継続しない主な理由は何ですか?」 すると、次の3つに集約されると言います。

① 学校の部活が始まって、帰りが遅くなる ② 学校の課題が多くて、それに時間が取られる ③ 通学時間が掛かるようになり、帰宅が遅い

う~ん、問題ですね~。 同じような事例を抱えている塾も多いと思いますので、来春のために反省会をしましょう。

まず、大前提として、マスター・ビジネスができていません。選択を相手(高校1年生)に任せすぎています。選択を相手に任せ、「どうぞ好きにして下さい」と言えば、当然、人は楽な方に流れて行きます。あえて厳しくも苦しい道のりを選ぶ人はいないでしょう。ましてや、相手は子どもです。何かの理由を付けて安易な道を歩み始めます。 なぜ、高校1年生から塾に通わなければならないのでしょう。その理由を塾側から教えてあげなければなりません。その理由が分からないうちは高校1年生が塾に通うことはないでしょう。 いわゆる、理論武装の問題です。 以前からお話していることですが、今の市場(消費者)は購買理由に納得しないと消費行動に移りません。その購買理由は店側(あなた)が教えてあげる必要があります。「購入するメリット」と「購入しないデメリット」を伝えなければ、消費者は納得しません。そして、それ(メリット・デメリット)を一番分かっているのは経験豊富な「あなた」です。 例えば、大学受験においては推薦等を除き内申点は関係ないこと、学校授業に忠実に学習していたのでは志望校合格がおぼつかないこと、そして何より、早期に目標設定をして行動を開始しないと受験において圧倒的に不利になることを教えてあげなければいけません。3年生になれば、誰もが受験圧力を感じます。そのプレッシャーが掛かる前に「貯金」をしておくことの重要性を、本人は間違いなく感じていません。ところが、そうしたことを教えるべき塾人の中にも「まあ、今はのんびりするのもいいだろう」と鷹揚に構えている人がいます。それは、塾にとっても生徒本人にとってもマイナスです。 「いつでも必要になったら塾に戻っておいで」と中学卒業生を送り出す塾がありますが、「必要になったとき」は手遅れになっている可能性が高いものです。また、一度離れた生徒が戻ってくる可能性は極めて低い。その時は駅前の大手塾、大手予備校に行ってしまいます。原因の1つは「お世話になった塾を辞めてしまった後ろめたさ」です。誰もが一度離れた「店」に戻るのは勇気がいります。もう1つは、高校生になると新しい人間関係ができることです。同じ地区の生徒が集まる中学校と違い、高校は広範囲に居住する生徒が集まっています。その人間関係の中で塾(予備校)を選ぶとなると、おのずと駅周辺に立地するところが候補になります。家から自転車で通う地元の塾に、高校の友達を誘って一緒に通うことはありません。 つまり、地元密着の中小・個人塾の高校部の成否は、塾を信頼して中3まで通ってくれた生徒をいかに繋ぎ止めるかにかかっているのです。


価格戦略を安易に考えない!

「5月まで通った新高校1年生が6月以降継続しなかった」最大の理由があります。 この塾は、4月・5月の授業料を、それまでの10分の1、2,700円にしたのです。こ、これはマズイ!

塾長に尋ねると、「長年通ってくれたお礼として…」と言いますが、逆効果です。

「人は価格で価値を図る」という原則をすっかり忘れてしまっています。案の定、現場スタッフに聞くと4月・5月は「安易に休む学生が増えた」とのこと。つまり、授業の価値を軽く見ている様子が分かります。 これでは、今まで2,700円の価値しかなかったものを、突然、「6月以降は30,000円で買って下さい」と言っているようなものです。 ビジネスにとって価格戦略は最重要の課題です。ましてや、形のないものを販売するサービス業においては、その比重は他業種と比べて異様に重いと認識して下さい。安易に考えて、適当に価格設定していると、絶対に失敗します。 顧客の要望、「もっと安く」「もっと弁理に」に振り回されませんように。

適正価格は、客ではなく「あなた」が決めるのです。なぜなら、あなたが提供する商品の価値を最もよく知っているのは、他ならぬ「あなた」なのですから。 後期が始まりました。以前お話したように、高校部への継続戦略は短期勝負では勝てません。今すぐ取り組んでください。受験直前の本人・保護者に「高校一年生の勉強の重要性」を説いても聞いてもらえません。彼らは目前の入試で頭が一杯です。 来春の成否は「今」の実践にかかっています。

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